ビジネス

2018.07.20

世界の有名ブランドが狙う中国の住宅設備「32兆円」市場

LIXILは日本でシステムバスルームを50年以上にわたって開発してきた



LIXILグループの瀬戸欣哉CEO(写真中央)

デザインニーズにも変化が

LIXILグループの瀬戸欣哉CEOによると、「中国の富裕層は日本より分厚い層をなしており、高い技術と環境や安全性を配慮した日本商品に対するニーズは高まっている。中国ではエンドユーザーに直接働きかけることができるので、消費者に違いを知ってもらうためにショールームを出店する意義は高い」と話す。

シャワートイレに代表されるように、一般に住宅設備商材に関して、日本企業は機能面、欧米企業はデザイン性に定評があるが、同グループではすでに傘下に収めた欧米ブランドの利点を融合した商品群も登場させている。

たとえば、プッシュボタンひとつでシャワーの水圧を調整できる「スマートコントロール」というINAXの技術はGROHEの新製品に活かされている。「アジア市場は一般に高品質と見た目を重視する傾向があることから、こうした日欧のシナジー効果を期待する」とLIXIL浴室事業部の中川真グループリーダーは語る。



一方、中国の人たちの内装デザインに対するニーズが、「無印良品」に象徴されるようなシンプルモダンな嗜好に変わってきているという声もある。これまで中国の人たちは欧米の宮廷風の見かけゴージャスな内装をよしとしてきたところがあったが、実際には使い勝手がよくないうえ、ライフスタイルにもマッチしていないからだ。この傾向は、日本企業にとってもますますの追い風となりそうだ。

東京ビッグサイトの何倍もの大きさの見本市の規模もそうだが、世界中の住宅設備企業のショールームを集めた場所がここに限らず、上海にはいくつもあることには驚く。まさにグローバルな競争の渦中にあることを肌で感じざるを得ない。

もっとも、世界のブランドが勢揃いという環境は、消費者にとって好ましいことなのかはわからない。選択肢が多すぎるといえなくもないからだ。ショールームに並ぶ目もくらむような高級製品を目の前にして、中国の消費者たちは何を考えるのだろうか。

連載 : ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル
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文=中村正人

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