ビジネス

2018.07.19

「6つのレベル」で考える仕事とプライベートの境界線

iChzigo / Shutterstock.com

以下は読者のターニャから寄せられた便りと、私からの回答だ。


私は2週間前、弁護士事務所の事務アシスタントの採用面接を受けました。面接官である弁護士の女性とは、意気投合しました。弁護士の下で働いたことはありませんが、慣れれば仕事をこなせることは分かっています。

弁護士から「他に何か質問はありますか」と聞かれたので「1つだけあります」と答え、次のように言いました。

「この仕事は、職場を出たらそれで終わりでしょうか。それとも、帰宅してからも仕事のことを考え、計画を練ることが必要ですか? 私は仕事以外にもいろいろとやることがあるので、勤務終了後も仕事を気に掛けているような人が必要でしたら、私はおそらく適任ではありません」

私は正直に伝えたかっただけなのですが、弁護士の声色はすぐに変わりました。親切な態度は保ちつつも、彼女は次のように言いました。

「この事務所では、私以外に1人しか従業員を雇っていないので、物事をしっかり管理できる人が必要です。膨大な情報を把握することが必要な職務なので、仕事の前後に数分間、今後数日から数週間の予定をイメージすることなく仕事をこなすのは無理ではないかと思います」

これで面接は終わりでした。私は仕事は欲しいと思っていますが、勤務時間終了後も仕事をし続けることが求められる職務なら欲しくありません。今までの仕事では、そうした状況を経験したことがあまりに多かったからです。帰宅したら仕事のことは忘れられるような職務が良いのです。

私の要望は理にかなわないものでしょうか? この質問を原因として、すぐに私の採用を諦めた弁護士の判断は公平なものですか?


ターニャへ

この質問があなたにとって理にかなっているならば、それ以外のことは気にしなくて良い。

しかし、事務アシスタントのポジションは大抵、高い視点から仕事を管理できる人材を求めている。基本的な毎日の作業をこなしつつ、より高いところから全体を眺め、仕事をこなすことが必要なのだ。

事務アシスタントは、先を見越して早めに計画し、今後の予定を確認しつつ周囲の状況の変化を認識するのが仕事だ。あなたがこの質問をしたことは、良い判断だったと思う。あなたの生活や、プライベートで大事にしていることと合わない仕事だったら満足できなかっただろう。

しかし、全てとは言わずともほとんどの知識労働職では、毎日少なくとも数分間、仕事と優先すべき業務について考えることが求められる。また大半の人は、その日の仕事に備えた状態で出勤する方が、落ち着いて効果的に仕事ができると感じる。

確かに、勤務時間外は仕事について全く考えなくてよい職務も存在する。ファーストフード店や小売業などがそうかもしれない。とはいえ、帰宅しても仕事のことを考えているレストランや店舗の従業員を、私は数多く知っている。雇用主のためだけではなく、自分自身のために仕事のことを考えるのだ。
次ページ > 仕事とプライベートの境界線の6つのレベル

翻訳・編集=出田静

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事