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2018.07.18 07:00

アマゾンにとって「プライムデーの重要度」が増す理由

Hadrian / Shutterstock.com

米ネット通販大手アマゾン・ドットコムが今年も、36時間にわたる「アマゾン・プライムデー」を開催した。最も注目すべきことは、同社の音声アシスタント「アレクサ」が何台売れたのか、あるいはアマゾンがこのイベント中にどれだけの売上高を記録したのかということではない。

さらに、アマゾン初の実店舗チェーン、高級スーパーのホールフーズ・マーケットの売り上げがどうだったか、このイベントがウォルマートをはじめとする米国のその他の小売業者にどのような影響を及ぼしたかということでもない──アマゾンのプライム会員の数がどれだけ増えたか、その数がどれだけ維持されるかが、最も重要なポイントだ。

プライムビデオなどのサービスや製品の販売を含むアマゾンのエコシステムに一度組み込まれた顧客の多くは、忠実であり続ける。忠実な顧客を維持することは、どの小売業者の成功においても重要なことだ。

金融サービス会社コーウェン・アンド・カンパニーが6月、米国内の消費者約2500人を対象に実施した調査によると、今年第2四半期にアマゾン・ドットコムで買い物をした世帯のおよそ3分の2は、プライム会員だった。この割合は、前年同期には61%だった。

コーエンの推計では、米国内では第2四半期末の時点で全世帯の53%がプライム会員となっている。つまり、プライム会員は米国内におよそ6000万世帯ということになる。前年同期と比べると、約12%の増加だ。

アマゾンと第三者による流通額を含めた総流通総額(GMV)は今年、3220億ドル(約36兆1690億円)になる見通し。さらにこの金額は、2023年には今年の倍以上に当たる7930億ドルに増えると予想されている。

会員数の増加が不可欠

コーエンのアナリストは、アマゾンの世界全体でのGMVを長期的に増やしていく上での「最大の推進力」は、プライム会員を増やすことだと指摘している。アマゾンは今年上半期に初めて、米国での新規プライム加入者が前年比でほぼ横ばいとなった──プライムデーが重要な理由はここにある。

コーエンによれば、上半期の前年比での増加率は過去4年間、2.8~5.4%だった。昨年の伸び率は前年比2.8%となり、前年までに比べて鈍化していたが、下半期には6.6%増を記録した。これに貢献したのが、プライムデーだったとみられている。

アマゾンはプライム会員の国別の詳細を明らかにしていない。だが、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は4月、プライム会員が世界全体で1億人を超えたことを株主宛ての書簡の中で明らかにしている。プライム会員の新規加入による収入は昨年、前年比52%増の97億2000万ドルに上った。

米調査会社Consumer Intelligence Research Partners(CIRP)も先ごろ、米国でのアマゾンの“急速な”プライム会員数の伸びが減速し始めたとする調査結果を発表した。2016~17年には35%増だったのに対し、17年~18年は12%の伸びになったという。

伸び率の鈍化は、アマゾンがすでに相当数の会員を獲得したことによるものだ。CIRPが今年4~6月にアマゾンで買い物をした500人を対象に行った調査では、米国内のプライム会員が約9500万人に上り、1人当たりの年間購入額が平均1400ドルと推計されることが分かっている(非会員は同600ドル)。

プライムデーをきっかけに、アマゾンはまた新たな会員を獲得しただろう。問題は期間限定の無料のトライアルに申し込んだ人が今後、どれだけ会員として残るかということだ。

編集=木内涼子

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