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2018.07.17 17:00

国際スポーツイベント、開催国経済への貢献度は本当に高い?


WEFはまた、史上最高額となる推計110~140億ドルの準備費用が投じられたW杯ブラジル大会について、新設されたスタジアムが大会終了後に駐車場に転用されていることを挙げている。

各国がW杯に期待するもう一つの点が、観光業による収入の増加だ。ロシアは今回、この点においてはある程度の成功を収めたと言えるだろう。大会中には100万人近くが、試合観戦のためにロシアを訪れた。

だが、エコノミストらは観光業による経済の後押し効果にも懐疑的だ。米格付け会社ムーディーズのアナリストは、食品やホテル、通信、輸送などの各業界は一時的な増収を見込めるだろうが、それは短命なものに終わるとの見方を示している。

さらに、W杯は開催地以外の地域から注目をそらすことにつながっているとの指摘もある。2012年のロンドン五輪の開催時には、大英博物館をはじめとする英国内の主要な観光スポットで、訪れる人が減少した。

これらのほか、国際的なスポーツイベントには観戦に伴う生産性の低下という問題もある。例えばサッカーの試合を見ているとき、視聴者は大抵、生産的な作業をしていない。これは、日中に試合が行われる国では特に大きな問題となる。国際通貨基金(IMF)によれば、(今回のロシア大会で)最も生産性に影響を受けた都市は、リオデジャネイロ、ニューヨーク、ロンドンだった(モスクワは7位)。

W杯が今後の経済成長の後押しになることを期待したのだとすれば、ロシアは失望することになるのかもしれない。ただ、米ゴールドマン・サックスによると、大会の期間中、ロシアと優勝国のフランスでは、いずれも株価が上昇した。

編集=木内涼子

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