「可能な限りのスピードで色んなことを学ばせた。泳ぎ方や本の読み方、自転車の乗り方、身の回りの色んな事実が理解できる力を」
本が読めるようになると、彼女は娘たちを図書館に連れていき、興味を持つ本はなんでも読ませた。長女が5歳になる頃には、子供たちだけで小学校まで犬を連れて通わせるようにした。
三姉妹が最初に起業家精神を発揮したのも5、6歳の頃だったという。自宅の裏庭のレモンの木から獲ったレモンを、彼女たちは近所の人たちに売り始め「レモンガールズ」と呼ばれた。また、裁縫を覚えてからは手作りのピロー(枕)なども売っていた。
Estherによると、娘たちは海外での経験を通じ社会にインパクトを与える仕事の可能性に目覚めたという。スーザンはインドで、ジャネットは南アフリカで、アンはロシアと中国で大学時代を過ごした。「彼女たちは旅を通じて、世界をよりよい場所にしたいという思いを深めていった」
Estherの両親はユダヤ系移民で大学は出ておらず、父親は墓石職人だったという。中学1年生の頃に彼女は、教育の重要性に気づいた。「いつか母親になったら、子供たちには自分より良い暮らしをさせてやりたいと思った」
シリコンバレーで3人の娘を育てたEstherは、テクノロジー分野で働く女性たちの前途には、まだまだ巨大な未来が広がっていると信じている。娘たちはみんなコンピューターが大好きだった。
グーグルが始まったのは彼女の長女、スーザンの自宅ガレージからだった。1998年、グーグル創設者のラリー・ページとセルゲイ・ブリンはスーザンの自宅のガレージ内にオフィスを創設した。その後、彼女はグーグルの16番目の社員になった。
「彼女たちがこれまでの人生で成し遂げてきたことを誇りに思う」とEstherは話した。