急成長のレストラン業務ソフト「Toast」チップの増収効果も

(c)Toast

レストラン向け業務管理ソフトを手掛ける「Toast」は7月10日、「ティー・ロウ・プライス(T. Rowe Price)」が主導するシリーズDラウンドで1億1500万ドル(約130億円)を調達したことを明らかにした。

このラウンドには、ヘッジファンドの「タイガー・グローバル(Tiger Global)」も参加した。評価額は14億ドル(約1570億円)に達し、同社は創業6年にして評価額が最も高いソフトウェアスタートアップの1つとなった。

「我々はレストランの運営を手助けし、お客様から推奨されるような店にしたい。我々のサービスの普及はまだまだこれからだ」とCEOのChris Comparatoは話す。Toastは全米25都市でサービスを提供しているが、市場規模8000億ドル、就労者数1500万人のレストラン業界におけるシェアはまだ小さい。

Comparatoによると、「ジャンバ・ジュース (Jamba Juice)」や「Dos Toros Taqueria」、人気ハンバーガーチェーンの「B.Good」など大手ファストフードブランドを含む数万店がToastのサービスを利用しているという。

Toastは今回調達した資金を研究開発や従業員の雇用に充当するという。昨秋、Toastはフォーブスの「クラウド100(Cloud 100)」(クラウド分野を代表する100社リスト)に選出された。当時の従業員数は600人だったが、現在では1000人を超えている。

当初、Toastの提供サービスはスタッフ管理が主だったが、事業拡大を進めて5月にはモバイルPOS端末の「Toast Go」をリリースした。Toast Goを導入したテキサス州オースティン本拠のレストランチェーン「Odd Duck」では、接客係1人当たりのチップが年間7000ドルも増え、売上高の向上にも貢献しているという。Toastは、他にも顧客に食事の準備ができたことを知らせるディスプレイも開発している。

IPOに向けた動きも

Toastは業績を公表していないが、数千万ドル規模と推測される売上高はこの1年で150%増加したという。また、提携パートナー数は昨年の20社から今年は30社が新たに加わり、その中にはオンラインフードデリバリー大手の「GrubHub」が含まれるという。

ToastがIPOをした場合、クラウド企業は大いに歓迎するだろう。ComparatoはIPOで重要な役割を果たすことになるCFOをはじめ、マーケティングやSMB(中堅・中小企業)担当の副社長を相次いで採用している。

Comparatoは最近出張したイタリアで、多くのファストフード店が時代遅れの業務管理ツールを使っているのを目撃したが、当面は米国市場に集中するつもりだという。彼は、Toastの高い評価額によって顧客企業や従業員からの信頼が高まることを期待している。

「私は彼らのことを常に考えている。高い評価額は我々が勝ち続けている証拠であり、顧客企業や従業員が勝ち馬に乗ったことを示している」とComparatoは話した。

編集=上田裕資

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