VSの主力商品のブラジャーと若い世代をターゲットとしたブランド、ピンク(Pink)の売り上げが低迷していることが、美容製品の販売が上げた利益を相殺した形となった。
VSの既存店売上高は2016年以降、ほぼ一貫して減少を続けてきた。米国とカナダで展開する約1200店舗(6月末時点)の既存店売上高は同期、6%減となっている。一方、ボディーケア製品や雑貨などを扱うバス&ボディワークス(Bath&Body Works)はVSより小規模ながら、同期の既存店売上高で前年比10%増を記録した。
VSは6月、「客足が減っており、低調なスタートになった」として、半期に一度行うセールの期間を2週間延長していた。これについてLブランズは、「売り上げを増やそうとさらに値引きをしたことで、利益率が“大幅に”低下した」と説明した。VSの売場1平方フィート(約9.3平方メートル)当たりの商品在庫高は、同月末には20%増加しており、今後さらなるディスカウントが行われることも予想される。
長期戦略を見誤った?
全盛期のVSは、先行きの見通しも明るいことが確実であるように思われた。そのためLブランズは、エクスプレス(Express)やザ・リミテッド(The Limited)など一部のブランドを手放し、主にVSとバス&ボディワークスに重点を置くことを決めた。このとき同社は、そうすることで「ファッション・ビジネスのサイクルから影響を受けにくくなる」と述べていた。
だが、Lブランズは5月、2016年3月に“非中核”ビジネスだった水着・アパレル部門から撤退したことは失敗だったと認めた。同部門は2015年、売上高が合わせて過去最高となる約5億2500万ドル(約591億円)に上っていた。
Lブランズはそのほか、2015年にVSのカタログ通販を中止したこと、ダイレクトメールによるブラジャーとパンティーの販促活動を大幅に縮小したことも、業績が低迷した理由だとしている。廃止前、カタログの発行部数は2億5000万冊近くに上っていた。また、ダイレクトメールを受け取った人には(商品を購入しなくても)無料でパンティーを提供するなどしていた。