VSは今でも、米国のランジェリーブランド最大手ではある。ただし、国内での市場シェアは縮小しており、英調査会社ユーロモニターによれば、昨年までの5年間に2ポイント低下、28.8%となっている。
失った消費者との「接点」
消費者はますます、信頼し得る宣伝活動を行うブランドを求めるようになっている。そうした中で、“修正され、美化された”スーパーモデルたちのイメージは、VSが時代とかけ離れつつあることを示しているのかもしれない。一方で、アメリカンイーグル アウトフィッターズが展開するAerie(エアリー)などのブランドは、実際の女性たちのイメージを反映させ、シェアを拡大している。
アメリカンイーグル アウトフィッターズのエアリー
ただ、市場シェアなどを示す数字は、VSが直面するより大きな問題が何であるかを明らかにするものではない。ここ数年、筆者自身も気付いていたことだが、VSの店頭からは、まさに「これが欲しかった」と思うような商品が消えている。話を聞いてみた店員たちも、なぜ人気があって着け心地も良い流行のスポーツブラなどを別の商品に切り替えるのか、理由が分からないと首をかしげていた。
ある女性は少し前、フェイスブックに次のようなコメントを投稿している。
「VSでは何が起きているのだろう?」「以前売っていた衣類や靴は最高にかわいくて、ブラも私がそれまで買った中で一番だった。もう他のブラは買わないだろうと思っていたのに…買えなくなって、本当にがっかりだ…」
言い訳は色々あるだろう。だが、VSはそれらを全て忘れるべきだ。ブランドにとって、最終的に救い主となるのは適切な製品だ。