ビジネス

2018.07.16

バイロンベイの農場が提案する、これからの体験型コンテンツ

レストラン&カフェの建物を拠点に、農場や子供たちの遊び場などに気軽にアクセスできる。



ファームツアーに参加中の若い女性ゲストたち。

The Farmが特にユニークなのは、フィロソフィーの1つである「EDUCATE=学び」の要素。

農場では連日行われているファームツアーに加え、子供たちの農体験、メディカルハーブやみつばちについて学ぶワークショップ、バイオダイナミック農法やパーマカルチャーについて学ぶ講義など、さまざまなプログラムが展開されています。

さらに「The Garden Shed!」というコーナーでは、「自分たちが食べるものは、自分たちで育てる」というコンセプトのもと、簡単に育てることができる食用植物についての知識を学べるようになっていたりします。

The Farmは、施設での体験に「学び」が加わることで、人々が食や地域のコミュニティへ積極的に関わるようになることを期待しています。体験を日常のアクションにまで繋げていくことで、環境や健康に配慮した行動や思考が習慣化し、持続可能な好循環を社会にもたらすのではないか、と考えているのです。


The Farmの主要メンバーたち。サーファーらしくカジュアルな出で立ちながら、ビジョナリーで秀逸なビジネスモデルを構築

このThe Farmのルーツは、「three blue ducks」というオーストラリアで4店舗を展開しているレストラン。自分たちが提供する食のトレーサビリティやサステナビリティを追求した結果、このような体験型の農場レストランという形になったといいます。

また「three blue ducks」のコアメンバーは、社会的な活動を行うアクティビストではなく、海や自然、リアルフードを愛するサーファーたち。自分たちが本当に良いと思える環境や循環を作り、健康的な食べ物を享受したり提供したい、という純粋な動機からThe Farmは生まれているのです。

体験型コンテンツに必要な5つのファクター
 
「モノからコト」に消費マインドが移行していく中、さまざまなシーンで体験型コンテンツが重要視されるようになりました。しかし、このトレンドにのってできたものが全て成功しているかというと話は別です。そこで改めてThe Farmを見ると、コンテンツ設計のヒントがありました。

成功の要素となるのは以下の5つのファクター。中でも、体験をより深いものにする(5)エデュケートは最も重要ではないかと思います。

1. 生産から提供まですべてに透明性のある「トレーサビリティ」
2. 継続的に育まれていく「コミュニティ」
3. 質が高く心地のよい「クリエイティブ」
4. 地域との関わりを大切にする「ソーシャル」
5. 体験を日常化していくための「エデュケート」

一見、オーストラリアの片田舎のお洒落ファームかと思いきや、The Farmにはこれからのコンテンツづくりのヒントが詰まっており、多くのインスピレーションを得ることができました。ヨーロッパやアメリカにも同じような施設が増えてきているので、旅先の候補に入れてみてはいかがでしょうか。

連載 : クリエイティブなライフスタイルの「種」
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文=国府田淳

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