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I cover urban development and digital disruptions in real estate.

DW labs Incorporated / shutterstock.com

米シェアオフィス運営大手のWeWork(ウィーワーク)は先ごろ、メンバー向けの小売スペース「WeMRKT」の試験営業を開始した。

ニューヨークのハドソン・ストリートにあるコワーキングスペースの一画に設けた“店舗”には、4月に行ったピッチで選出されたメンバー企業10社の製品をはじめ、事務用品やスナック類、飲み物などが並べられている。

これら10社には、スタートアップの数社も含まれる。各社は多くがオンライン通販を行っており、実店舗での販売は今回が初めて。間接費をほとんどかけることなく、販路拡大を実現したことになる。

コワーキングスペース内に“現代的な小売スペース”を設けることは、高級フィットネスジム、Soul Cycle(ソウルサイクル)の共同創業者であり、昨年11月からウィーワークの最高ブランド責任者(CBO)を務めるジュリー・ライスが発案したもの。

ウィーワークにはこれまでも、「Honesty Market」と名付けた無人のコンビニエンスストアのような小売スペースが設けられていたが、ライスはWeMRKTについて、「メンバーによる、メンバーのための」ものと説明している。「実店舗が姿を消していく中で、WeMRKTは他に存在しない流通経路をメンバー企業に提供するものだ」という。

ここ数年、フリーランスエコノミー(ギグエコノミー)が広まり、デジタル起業がますます容易になるなかで、ウィーワークのようなコワーキングスペースが人気を集めてきた。だが、一方でオンライン販売のみを行ってきた企業は、実店舗への販路拡大を進めてきた。

仕事熱心なウィーワークのメンバーたちが、施設の外に出ることなくスナックを購入したりエネルギーを補給したりできるようにすることは、ウィーワークにとっては有効なブランド戦略とも言えそうだ。同社は今後、ニューヨーク市内で運営するその他の施設にも、WeMRKTを開設する計画だ。

インキュベーターとしての役割

WeMRKTでの自社商品の販売が認められた各社は、ウィーワークが提携するSnackNation(スナックネーション)を通じて、さらなる販路拡大の機会を得ることもできるだろう。同社はスナック類のデリバリーサービスを手掛けている。

ひよこ豆を原料としたスナックを製造・販売するLebby Snacks(レビー・スナックス)のオナー・オズ最高経営責任者(CEO)は、同じ場所で働く人たちに自社の商品を試してもらうチャンスを得たことは「非常に大きなこと」だと述べ、強い意気込みを示している。

一方、WeMRKTで水分補給のためのサプリメントを販売するHydrant(ハイドラント)のジョン・シャーウィンCEOは、ウェブサイトへのトラフィックや、製品に関する問い合わせが増加したと話す。また、ウィーワークのエレベーターで声をかけられ、製品について尋ねられることも増えたという。

シャーウィンによれば、Hydrantはウィーワークが推進する「WeWorks Lab」プログラムを通じて、現在のスペースに入居している。同プログラムは、ウィーワークがインキュベーターの役割を果たすもので、選出した企業に通常以下の料金でスペースを提供するなどしている。

シャーウィンは、「このプログラムでウィーワークに選出されたことをきっかけに、Hydrantは急速に変化し始めた」と語る。長期的には、薬局などでの販売も目指したい考えだ。

編集=木内涼子

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