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健康促進のために森など緑の多い場所で時間を過ごす「森林浴」の人気は近年、日本をはじめとする各国でますます高まっている。

英イーストアングリア大学の研究チームが先ごろジャーナル「Environmental Research」に発表した論文によれば、緑の多い場所で長い時間を過ごしている人は、多くの慢性疾患の発症リスクが大幅に軽減されているとみられる。

論文は、研究チームが過去の関連の研究について実施したメタ分析の結果をまとめたもの。対象とした研究は、観察研究が103件、介入研究が40件となっている。後者には、参加者に「実際に森林浴をしてもらう」「都会の中の緑がある場所で過ごしてもらう」など、さまざまな介入を行ったものが含まれている。

そのほか、手術後の回復期を過ごした病室の窓から「緑が見えた場合と壁しか見えなかった場合の違い」や、「緑の多い場所と水辺に近い場所で過ごした場合の違い」などを比較した研究結果なども見直している。

チームが分析した研究結果は最終的に、20カ国のおよそ2億9000万人を対象に含むものとなった。対象者の50%は欧州の居住者であり、対象とした研究のうち24件は、森林浴が広く行われている日本で行われたものだった。

数字に表れた効果

研究チームは調査対象者らが緑の多い場所で過ごした時間と健康状態を確認するための100項目について見直しを行い、費やされた時間と長期的な健康状態の関連性を確認した。

緑に囲まれた空間でより長い時間を過ごすことは、ストレスから体を守るホルモン、コルチゾールの分泌量の減少と関連していた。心拍数、冠動脈疾患や2型糖尿病のリスク、血圧、コレステロール値の低下との関わりも認められたほか、原因を問わない死亡率の低下と心臓病による死亡の減少にも関連していた。

さらに、妊娠中の女性が緑の中で過ごす時間を増やした場合には、胎児発育不全や早産のリスクが低下していた。また、調査に参加した人たちの間では概ね、「自分の健康状態は良い」と答える人が増加していた。

分析の対象とした研究結果の中には、がんや脳疾患の治療後の経過、睡眠、一部のバイオマーカーの測定値の改善との関連性を示唆する研究結果もあった。研究チームは対象としたこれらの研究の中には「最高水準」とは言えないものも含まれていたことを認めており、今後さらなる研究を行うとしている。

編集=木内涼子

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