2016年に連邦当局に提出した書類によれば、トランプはライセンス供与を行う5社を保有しており、それらの年間売上高は10万ドルを超えていた。だが、今年5月に公開した2017年の資産報告書によれば、それらのうち同程度の売上高を維持しているのは、1社のみとなっている。
「トランプ」の名を冠したホテルなどを建設する外国のデベロッパーから高額のライセンス料を徴収していたトランプだが、提携していた外国企業の中にはブランド名を変え、トランプと距離を置こうとしたものもある。
外国企業との新たな契約締結が見込めないことから、トランプの息子、エリックとドナルド・ジュニアは国内のより小規模な市場をターゲットとした「サイオン(Scion)」と「アメリカン・アイデア(American IDEA)」という2つのホテルブランドを立ち上げた。ただ、フォーブスと米非営利メディアのプロパブリカが昨年9月に行った調査では、これらの新ブランドは、大々的に宣伝されただけにとどまっている。
それでも、トランプは米国の最も豊かな人たちの一人だ。ニューヨークやサンフランシスコで、大企業にオフィスや小売スペースを賃貸ししている。テナントはグッチや米ドラッグストア大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、スターバックスなど160社を超え、賃料収入は年間およそ1億7500万ドルを上回る(ただし、その大半は高額に上る建物の維持管理費用や固定資産税などに消えている)。
歴代の米大統領は退任後、執筆や講演活動によって収入を得ている。例えば、クリントン夫妻は2001~15年に2億4000万ドル以上を稼いだ。トランプは退任すれば、これらの活動に加え、世界のあちこちで元大統領の名を活用し、企業へのライセンス供与で儲けるようになるのかもしれない。