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2018.07.09

米アマゾン、スポーツ動画コンテンツ配信でも見せ始めた「強み」

pixinoo / Shutterstock.com

米アマゾン・ドットコムは、動画配信サービス「プライム・ビデオ」が提供するスポーツ動画コンテンツのポートフォリオを急速に拡大している。

先ごろ報じられたところによると、アマゾンはサッカー界の2大スター、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドとバルセロナのリオネル・メッシが活躍するスペインのプロサッカーリーグ、リーガ・エスパニョーラの試合の放映権の獲得を目指しているという。

スポーツの試合は世界的に、インターネットによるコンテンツ配信(オーバー・ザ・トップ、OTT)での視聴がますます人気を高めている。アマゾンは6月、欧州のサッカーリーグで人気、資金力ともにトップの英プレミアリーグの試合の放映権を取得したところだ。プライム会員になっている英国のサッカーファンは来年から3シーズンにわたり、1シーズン当たり20試合を視聴できるようになる。

また、アマゾンは昨年、男子プロテニス協会(ATP)ワールドツアーの試合の放映権をめぐり、英衛星テレビ局スカイに勝利。今年4月には、全米オープンの英国での放送権を取得している。同国のプライム会員はグランドスラム(4大大会)のうち、3大会の試合をプライム・ビデオで視聴できることになった(ユーロスポーツを通じて、全豪オープン、全仏オープンの試合の観戦が可能)。

「プライム」の利点

アマゾンは昨年、全米プロフットボールリーグ(NFL)の木曜夜に行われる試合「サーズデーナイトフットボール」の放映権の獲得において、容易にツイッターに競り勝った。スポーツのライブストリーミングでは短期間のうちに、ツイッターを上回る存在になったとみられている。さらに、フェイスブックやグーグルのユーチューブ、4月にサービスを開始したウォルト・ディズニーのESPN +とも互角の戦いを展開し始めていると考えられる。

アマゾンの強みは、ストリーミングサービスを通じて加入者と広告収入を増やせるというそのビジネスモデルだけでなく、それらを小売部門での売り上げにつなげることが可能だというところにある。

アマゾンが4月にプライムの年会費を99ドル(約1万円)から119ドルに引き上げた際、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は株主らに対し、プライム会員が世界全体で1億人を超えたことを明らかにしている。

競合する各社がアマゾンと戦うことは、容易ではないだろう。アマゾンの現金保有額はおよそ170億ドル。アルファベット(グーグル)の130億ドル、フェイスブックの120億ドル、ツイッターの20億ドルを大きく上回っている。現金保有額が約40億ドルとされるディズニーは、21世紀フォックスの一部資産の取得に700億ドル以上を費やす見通しとされている。

編集=木内涼子

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