1. 簡潔に語る
自分の声に酔いしれている人の話を聞いた経験は誰しもあるはずだ。自分の関心が尽きないことを事細かにだらだらとしゃべり続けられ、聞き手は眠気の波に襲われてしまう。こうした話し手は、相手とつながることより情報を伝えることに注力してしまっている。
できるだけ詳細は省き、ポイントを伝えるようにすること。シェイクスピア著『ハムレット』の登場人物、ポローニアスは「簡潔さこそ、知恵の神髄だ」と述べた。簡潔さは、他者が喜んで話を聞くようなストーリーテラーになる上でも肝心な要素だ。
2. 始まり・中間・終わりを持つ
映画監督のジャンリュック・ゴダールはかつて「物語には、始まりと中間、終わりがなければならないが、この順番である必要はない」と語った。あなたが前衛的な芸術家で、少数の人を魅了できれば他を困惑させても構わないと考えるならそれでもかまわないが、ビジネスの場面で語るストーリーは、従来的な順序で説明するのが最も効果的だ。
3. 要点を持つ
ジョン・ヒューズ監督のコメディー映画『大災難P.T.A.』では、シャワーカーテン用リングのセールスマン、デル・グリフィス(ジョン・キャンディ)と道中を共にする羽目になった広告企業の役員、ニール・ページ(スティーブ・マーティン)が、長ったらしい人生話を延々と聞かされ、ついに我慢できなくなってこう叫ぶ。
「こんなつまらない世間話をするときに、注意すべきことを教えてあげよう。要点を言うんだ。そうすれば聞く側にとっては、はるかに面白い話になる!」
ビジネスシーンで語られるストーリーの要点は、行動(商品やサービスの購入、新戦略の採用、従業員の採用や昇進など)を促すことである場合が多い。物語の全ての要素が、この目的に向かうべきだ。
4. 改善の努力を怠らない
グーグルでストーリーテリングについて検索すると、さまざまなポッドキャストや記事、動画がヒットする。こうした素材を、週に1つだけでも読んだり見たり、聞いたりすることを数カ月繰り返し、アドバイスを実践すれば、大きな効果が見込める。
私は数十年の間、講演者として活動してきたが、基調講演の前夜には必ずホテルの部屋でスピーチを練習し、その様子を録画して見直して良かったこととやめるべきことを考える。自分が持つ悪い癖は、意識しなければ驚くほどすぐ戻ってきてしまう。