ドクター本荘の「垣根を超える力」


ある参加者からは、こんな質問がありました。「私は九州の田舎から来たのですが、地方でも高齢者の運転による事故が増えてきました。クルマを彼らから取り上げないといけないのか、それとも他に良い選択肢はあるのか?」

成迫氏は、既存の選択肢にとらわれず、いろいろな可能性を考えることの大切さをこう指摘します。「例えば、中国ではクルマをレンタルすると、オプションで運転手つきも選べる。そんなサービスもあります」。自動運転についても、「ぶつからないクルマを供給すればいい」と、柔軟に考えていく必要性を説きます。

また、インドやインドネシア、フィリピンなどで盛んに乗られている「三輪車」を例にあげ、われわれがすぐ頭に浮かべる四輪ではない、異なったかたちのクルマの可能性も問います。

「三輪車もそうですが、これまでメーカーが力を入れてこなかったが、潜在ニーズはありそうな新たな移動手段については見過ごせません。車イスの高性能化に取り組むベンチャー企業もありますが、パーソナルビークルや低速モビリティなど、他にもいろいろなかたちのクルマが考えられます」

成迫氏が語るこのような可能性について、参加者からは「歩いているようにみえて、実は歩いていない」といったモビリティのアイデアも出ました。「かわいいとかカッコいいとか、洋服といっしょで、自分の趣味合ったクルマとか、いま以上に求められるかもしれない」とも成迫氏は言います。

トークセッションの結論としては、ユーザー目線で楽しい移動手段を実現して、明るい未来をつくろうということになったのですが、将来的な展望については、悲観と楽観、双方の意見が出ました。

悲観は、日本産業界の最後の砦とも言える自動車産業が、従来の延長上では危ういということ。ライドシェアやシェアカーなどクルマの稼働率が上がれば、売れる台数は少なくなるし、EV化で部品も減る。時代の変化に乗り遅れれば、自動車産業そのものに赤信号が点滅するということです。

楽観は、供給側にもチャンスはたくさんあるということ。メディアの報道を見ていると、グーグルやウーバー、そしてトヨタなどの巨大企業、あるいは14億の人口を背後に控える中国の企業などしか、交通革命のおいしいところをいただけないような気もします。しかし、大きな変化の時期には、多様なチャンスも転がっている。スタートアップが活躍できる機会も十分にあると言えます。

連載 : ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二

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