ストックホルム本拠のPeltarionは、これまでに投資家から1600万ドル(約18億円)を調達している。顧客にはBMWやNASA、Ocadoといった大手企業が顔をそろえ、今後の利用を希望する企業数は800を超えるという。
CEOのCrnkovic-Friisによると、多くの企業がグーグルの「TensorFlow」やアマゾンの「Sage Maker」、マイクロソフトの「Azure Machine Learning」などのフレームワークを使って画像認識や自然言語処理のシステム開発を試みているが、ツールが非常に複雑でAIの専門家がいないと運用は難しいという。
そこでCrnkovic-Friisが考えたのは、HTMLが使えなくてもウェブサイトを構築できるワードプレスのようなAIツールだった。Peltarionでは、グラフィックを用いたインターフェースで独自のニューラルネットワークが構築でき、専門知識を持たないソフトウェア開発者でもAI開発が可能だ。
Crnkovic-Friisは筆者にノートPCを使って操作方法を見せてくれたが、真っ白なページにダイアグラムやバブルとそれらを結ぶ線が表示されていた。バブルはニューラルネットワークの「レイヤー」を意味するという。
個々のバブルにはパラメータが含まれ、ソフトウェアがニューラルネットワークを構築するためのステップとして機能する。データはそれぞれのステップを経由して送られ、ネットワークが答えを間違えた場合には、鎖状につながったバブルを逆流して修正が行われる。
ニューラルネットワークには、未知のデータからも正しい答えを導き出す「汎化能力」がある点が、フレームワークに基づくソフトウェアと大きく異なる。Peltarionでは、データの複雑さに応じて汎化に数分から数時間を要する。