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パレスチナ和平交渉でノーベル平和賞を受賞した、シモン・ペレス前大統領を父にもつネヘミア・ペレス。 道は違えども、息子は父の遺志を継ぎ、テクノロジーとベンチャー投資の世界で平和を希求している。


──各国の企業が今、さまざまな差別 や不正で問題となっています。

ネヘミア・ペレス(以下、ペレス):もはや、財務というコンパス(羅針盤)だけ を頼りにビジネスの世界を航行するのは安全ではありません。倫理観なきイノベーシ ョンは危険さえあります。今は、国家や国境で作られた旧世界から新世界への移行期間です。でも、こうした変化に対するグローバル・ガバナンスがありません。だからこそ、今日のリーダーには責任が増しているのです。革新的で先見性があるだけでなく、倫理的でなくてはいけません。

━━経営者がすべきこと、とは。

ペレス:さまざまな論説記事や本を読むことです。私は常に友人からも学んでいます。亡き父は「ビジネスに倫理をもたらすには、何よりも人としての道、そしてユダヤ教の教えを守るべき」と考え、「十戒」を最も大切な規範としていました。200語程度ですが、「モラル・コンパス」たりえます。これに他の社会や宗教からも価値観を分かち合い、互いに共有することができるかと。彼はまた、リーダーは“使用人”であるべきとも説いています。社員を服従させるのではなく、会社よりも大事な大義のために働きたくなるようにすることが重要だとも。

──シモン・ペレス前大統領が構想した「ペレス・平和イノベーションセンター」を10月にオープンする予定ですね。

ペレス:目的は3つ。まず、イスラエルの子供たちに起業家になる道を示してあげる こと。そして、海外からの来訪者に科学を通じてイスラエルが成長してきた軌跡を紹介すること。最後に、他国と「Foreign Affairs(外交)」ならぬ「Innovation Affairs(イノベーション外交)」を築くこと。 政府間で行う外交に対して、イノベーション外交は、国境を越えて人類共通の問題を解決するのが目的です。

──故人は脳研究も推進していました。

ペレス:究極の目標は人類にとっての「モラル・ミラー(道徳の鏡)」を開発するこ とです。鏡を見て「身支度をしなくては」と思うように、モラル・ミラーは自分の考 えや判断を磨く材料になります。宇宙や海洋の探査も必要ですが、「脳」こそ調べる べき最も重要な“天然資源”なのです。

イスラエルに伝わる有名な詩のとおり、「人は答えを求めて問い続けるが、自らは解かれぬ問いのまま」なのですから。


ネヘミア・ペレス◎イスラエル最大のベンチャー投資会社 「ピタンゴ」の共同創業者。外相在 任時の1994年にノーベル平和賞を 受賞した、故シモン・ペレス前大統 領の息子。イスラエル空軍のパイロ ットとして10年勤務したのち、IT企 業を経てベンチャー投資ファンドを立 ち上げた。出資先にデジタル広告配 信企業「Taboola(タブーラ)」など。

文=井関庸介 写真=鷲崎浩太朗

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