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エルヴェ・デシャン ペリエ ジュエ 最高醸造責任者

「時の財産が眠るこの『レデン(L’Eden=楽園)』へようこそ」。これは、この5月に開催されたペリエ ジュエによるポップアップバー「レデン 東京 バイ ぺリエ ジュエ」において、そのセラーを巡るVRに出演していたエルヴェ・デシャン氏が私たち見るものを誘った一言。

この「レデン」というセラーはフランス・シャンパーニュ地方にあるペリエ ジュエのカーブに実在しているが、大変貴重なバックヴィンテージ(古い醸造年度のシャンパーニュ)を貯蔵しているため、代々のセラーマスター、つまり最高醸造責任者が鍵をもって管理している。今は、1993年以降7代目の最高醸造責任者を務めているデシャン氏が入ることを許されている唯一の人なのだ。

「レデンには1825年のヴィンテージも残されています。私は先日1911年のヴィンテージを飲む機会がありましたが、まだまだフレッシュで力強さが残っていたことに衝撃を受けました。私のつくったシャンパーニュも100年後のセラーマスターが飲んでくれることでしょう」


1902年にエミール・ガレがアネモネの花を描いた、ペリエ ジュエを代表するシャンパーニュ。ペリエ ジュエ ベル エポック 2007

デシャン氏の話は過去〜現在〜未来を自在に旅するが、それも毎年のヴィンテージワークを丁寧に、厳密にこなしている時と経験の積み重ねによるもの。

「毎年秋にブドウを収穫して、ワインをつくり、そのワインをテイスティングして、アッサンブラージュ(ブレンド)する。その繰り返しです」とあっさりと語るが、その年の天候を加味しつつ、ペリエ ジュエのシャンパーニュという卓越したクオリティと味わいを生み出し続けていくのは生半の気概ではなしえないだろう。いまは、ブドウ畑の天気をインターネットでチェックできるため、だいぶ楽になりましたとほほ笑むが、一方で畑に霜が降りた夢を見てハッと目覚めることもあるのだとそっと打ち明けてくれた。

「ペリエ ジュエというシャンパーニュはエミール・ガレがアネモネを描いたボトルでも有名ですが、この繊細で華やかな味わいがアーティストのクリエイティビティを刺激するのでしょう。今回の『レデン 東京バイ ぺリエ ジュエ』でもシカゴを拠点とするアーティスト、ルフトヴァークがデジタルインスタレーションを制作してくれています」

あなたがキュレーションしているのですか? と聞いたら、「いえいえ、アーティストからぜひやらせてほしいと言ってくるんですよ。ペリエ ジュエはそれだけの魅力にあふれたシャンパーニュだからね」。メガネの奥で、いつもは謙虚な瞳にキラリと自信をのぞかせた。


エルヴェ・デシャン◎1956年、仏シャンパーニュ生まれ。醸造学・農業工学の学位を取得後、83年にペリエ ジュエに入社。93年より現職。1811年の創業以来の約200年間でわずか7人しかいないセラーマスターのひとりとして、伝統を受け継ぐのみならず、シャンパンの芸術品として名高いペリエ ジュエのシャンパーニュを意欲的につくり続けている。

文・構成=秋山 都 写真=吉澤健太

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