同チームはノルウェーやオーストラリア、英国、米国のカフェを分析し、どこでも働けるデジタルノマド向けの特別サービスを整えているカフェの数が増えていることを確認した。例えば、カフェ内のコンセントは必要不可欠な設備であり、コーヒーそのものより重要な場合も多かった。
また同研究では、カフェで作業することの社会的な側面が非常に重要であることが分かっている。カフェで作業する人々は、そうすることで自分がより大きなものの一部だと感じるとともに、周囲の雑音により創造性レベルが向上すると感じていた。
創造性については、消費者研究ジャーナル(Journal of Consumer Research)に掲載された研究結果でも確認されている。この研究では、カフェで一般的に見られる低レベルの雑音が、創造的思考に特に効果的なことが分かっている。また、一生懸命働く人に囲まれることで、自分もより精を出して働くことができる。心理科学紀要・レビュー(Psychonomic Bulletin & Review)に発表された2016年の論文では、周囲の人が黙々と働いていると、自分も一生懸命働こうと思うようになると指摘している。
こうした効果を、居心地が良く柔軟なカフェの環境と組み合わせれば、一人寂しく自宅で勤務するよりも、カフェでの作業を選択する人が多いのもうなずける。
コーヒーのカフェイン効果
もちろん、誰もがカフェで1日中遠隔勤務をする自由があるわけでもなければ、そうしたいと願う人ばかりでもない。しかし、飲む場所にかかわらず、コーヒーには多くの効果がある。
例えば、科学誌ニュートリション(Nutrition)に2013年に発表された論文では、カフェインが人の考え方に与える影響を調査。その結果コーヒーは、タスクに集中したい時には素晴らしい効果を発揮するが、集中力が高まると新しく多様な考え方を模索する障壁になるため、創造性が要求される場合には逆効果となる可能性もあることが分かった。
コーヒーの集中力を改善する効果は、精神薬理学ジャーナル(Journal of Psychopharmacology)に先日発表された調査結果でも示されている。同調査では、会議でコーヒーを出せば議論の焦点が定まるとともに、参加者がより積極的に関わり、全般的に会議に対する満足度が上がることが分かっている。
調査を行った研究チームは、コーヒーの効果に着目した先行研究の大半は個人のパフォーマンスに焦点を当てていたため、グループのパフォーマンスにも同様の効果があるのかどうかを調べたかったと述べている。結果として、会議前にコーヒーを飲んだ人は、自分自身だけでなくグループのパフォーマンスも高く評価していた。