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I cover fintech, crypto and the sharing economy for Forbes Europe.

JHVEPhoto / Shutterstock.com

社会のキャッシュレス化が進むなか、ロンドンでは街なかでパフォーマンスを披露する大道芸人たちも、スマートフォンと連携した端末を通じてのモバイル決済サービスを利用できるようになっている。

米オンライン決済サービス大手ペイパルは先ごろ、小規模事業者向けの決済サービスを提供してきたスウェーデンのアイゼトル(iZettle)を22億ドル(約2430億円)で買収すると発表した。

アイゼトルのジェイコブ・デギア最高経営責任者(CEO)はこれについて、「始まりにすぎない」と語る。自社が手掛けるサービスを国際的に展開したいという野心を持つ同CEOは、ペイパルによる買収は自らの計画に“強大な力”を与えるものだと考えている。

低価格で利用可能なアイゼトルの端末は、すでに欧州のコーヒーショップやポップアップレストランなど、多くの中小事業業者に利用されている。だが、同CEOが思い描くのは、このサービスを事業規模にかかわらず、世界中のあらゆる地域で利用可能なものにすることだ。

計画どおり?

アイゼトルは少し前まで、新規株式公開(IPO)を計画していた。だが、同業大手のペイパルからの買収提案を受け、直前で考えを変えた。拒否できないほどの好条件での申し出だったためだという。

「独自に成功を収めることもできただろう。だが、域内の顧客数はわれわれが約50万人である一方、ペイパルはおよそ2000万人。われわれが世界の12の市場で事業を行っているのに対し、ペイパルが進出している市場は世界全体で200に上る」

デギアによれば、買収が完了すれば(スウェーデンの規制当局の承認が必要)、アイゼトルの端末の利用者数は確実に、ペイパルと同水準にまで増加すると見込まれている。

ただ、同社の決断については懐疑的な見方もある。IPOの計画自体が、ペイパルなどからの買収提案を誘うための策略だったのではないかというのだ。こうした見解に対してデギア は、ペイパルからの提案を受けて以降、2週間ほどで結論を出したと主張している。

スクエアへの影響

カリスマ的な人気を集める決済サービス米スクエアのジャック・ドーシーCEOは、欧州での事業拡大を目指している。今年に入り、同社は欧州の小売業者を相手に“魅力攻勢”を展開していた。だが、ペイパルとアイゼトルの合意は今後、スクエアの計画に大打撃を与える可能性がある。

スクエアの米国での売上高は今年、30億ドル近くに上ると見込まれるが、同社は欧州では苦戦している。ようやく昨年、英国市場に進出したばかりだ。アイゼトルがペイパルの支援を得れば、今後さらに厳しい戦いを強いられることが予想される。

デギアCEOは、「欧州は非常に難しい市場だ。米国市場のように、一つのものに汎用性を期待することはできない。欧州市場のそうした複雑さと課題を、私たちは理解している」と語る。

「われわれは、スクエアという会社を大いに尊敬している。彼らが米国で達成したことに感銘を受けている。だが、彼らが英国市場でどれだけうまくやっていけるのか、それについてはまだ何とも言えない」

編集=木内涼子

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