ラタトゥイユから学べること
地域に根付いているレシピは、かつてそこに暮らしていた人々が考えた生きるためのノウハウみたいなもので、土地や季節にあった健康のための要素がたくさん詰まっています。
でも面白いことに、この南仏名物ラタトゥイユの野菜の原産地を調べてみると、トマトとパプリカは南米、ナスはインド東部、にんにくは中央アジア、オリーブオイルは地中海沿岸など、ルーツはバラバラ。ラタトゥイユはまるでサッカーのフランス代表のような、ルーツの異なるものを一つにした料理です。
そんな今のフランスらしい家庭料理からは学べるものが多く、僕は帰国時にはラタトゥイユをテーマにした料理教室を開いています。4種の野菜をそれぞれ別々に炒め、トマトソースを一から作り……と手間暇かかりますが、この連載で何度も書いている「うま味と薬味」の関係、「味をつけるのでなく、味を引き出す」こと、「料理を通じて、熱を伝える」ことは、作ってみるとよりスッと入ってくるものです。
栄養ドリンクやサプリメントで調整するのもいいですが、せっかくなので夏バテ対策が、人や文化の基本である「食」について考え「喰い改める」機会になればと思います。
ニース在住のシェフ松嶋啓介の「喰い改めよ!!」
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