ビジネス

2018.07.17

シリコンバレーのカリスマCEOに聞いた、勝ち組企業が実践する「5つの働き方」

Box共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ

昨今、「働き方改革」の議論が花盛りだ。デジタル化によってどんどん進化する私たちの職場やワークスタイル。では、5年後、10年後の労働環境はどのように変化しているのだろうか。

今回、シリコンバレーを代表する若手カリスマ経営者であるBox(ボックス)のCEO、アーロン・レヴィ(33)にインタビューをおこなった。

2005年創業のBoxは、Fortune 500(アメリカの大手企業500社)の約7割が採用しているという、法人向けクラウドサービスの大手企業だ。同社の経営理念は、「世界がコラボレーションする仕組みを変革する」。データの保管・共有・コラボレーションを通して、デジタル時代の「新しい働き方」を推進している(※ ただのデータストレージ企業だと思っていたら大きな間違いだ)。

多くのグローバル企業の「働き方改革」を支援してきたレヴィに、未来のワークスタイル、そして日本企業にとっての課題を聞いた。


「副業とか在宅ワークとか、そういうことは『働き方』の本質ではありません」

インタビューの冒頭、レヴィは記者の投げかけた質問を一蹴した。「未来の働き方」といえば、やはり副業やフリーランスなどが中心になるのか──、という質問だった。

「どこで仕事をするか、どういう立場(正規、非正規雇用など)で働くかということは、イノベーションの本質とはほとんど関係ありません。競争環境が激変しています。昨日まで競合相手だった企業が、今日はパートナーになっていたりします。そんな厳しい環境で勝ち抜くためには、『機械産業』型の働き方から『デジタル企業』の働き方にシフトしなければなりません。すべての会社は『デジタル企業』になるべきなのです」

レヴィの言う「デジタル企業」とは何か。

アマゾンやウーバー、Airbnbなどのテクノロジー企業だけを指しているのではない。GEやP&G、コカ・コーラ、さらにはNASA(米航空宇宙局)など、非ソフトウェア産業でありながら、デジタルを核に据えることでイノベーションを生み出している組織も含むのだという(注:いずれも同社の顧客)。

従来のビジネスモデルやプロセスにソフトウェアを追加しただけでは、「デジタル」とは言えない。本質は、いかにして継続的にイノベーションを生み出せる企業へと生まれ変われるか。──そのためには、作業環境やビジネスプロセス、企業文化など、すべてを再構築しなくてはならない、とレヴィは主張する。

では、そのデジタル企業の「働き方」とはいったいどんなものか。従来の機械産業型ビジネスとの違いを5つ挙げてもらった(以下の説明はレヴィ本人の言葉)。

1. ビジネスプロセス

【従来】大規模チーム、時間のかかる製品開発、非同期の仕事
【未来】小規模チーム、高速で反復可能なイノベーション、リアルタイムの仕事

ビジネスのスピードが段違いに速くなっている。これまでは大規模なチームを組んで数年単位で製品開発をおこなっていたが、これからは反復的にイノベーションを生み出さないといけない。そのためには小さなチームでアジャイル(迅速)に動くことが必要だ。

2. リソース

【従来】企業内に閉じた環境
【未来】企業の枠を超えたエコシステム

これまでは社内の人材を使って、すべてのリソースを社内に集約していた。これからは、社外にあるリソースも活用することが求められる。Airbnbは不動産を持つことなく、ホスピタリティ(もてなし)のネットワークを作ることに成功した。必ずしも社内に重要資産をもつ必要はない。自社のまわりにエコシステムを作って、消費者同士が相互交流できるようにすべきだ。
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文=増谷 康 写真=ヤン・ブース

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