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2018.07.07 13:00

駅弁が根付く台湾で気づいた日本の「白ごはん」の魅力

sattahipbeach / Shutterstock.com


ほかほかごはんと冷めたごはん
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もう1つの大きな違いは、台湾の駅弁は温かいということ。日本では冷めた駅弁は当たり前だけど、台湾では温かい駅弁が好まれるため、駅近くで製造しているそうだ。購入後すぐ食べるか、温め直して食べるのが一般的らしい。

台湾人は、ごはんが冷たいとひもじいと感じるそうだ。日本でも“発熱する仕組み”のある弁当など、ほかほかごはんのニーズもあるが、「冷めてもおいしいごはん」を楽しむのが本来の駅弁。日本人は習慣的に冷めたごはんも楽しむことができる。

台湾の弁当は特に気にせず冷めてから食べていたが、冷めたごはんは硬めで食べにくく、食感も少し粉っぽかった。おそらく、冷めた想定で作っていないのだ。白ごはんが進まなかったのは、薄味のおかずだけでなく、こちらも一因かもしれない。
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日本に住む台湾人の知人に聞いても、「台湾のごはんはだいたい軟らかく、小さいころから軟らかいごはんを食べていた。硬いごはんは好きじゃない」と言う。郷に入っては郷に従え。やはり、台湾の弁当は温かいうちの食べるのが正解なのだ。

台湾の「魚沼産コシヒカリ」



さらに台湾人好みのごはんを知るために、現地で「お米がおいしい」と評判の「池上弁當」を食べてみることにした。ここは、台北の米どころである池上郡で育った「池上米」を使っている。

池上米は、言わば日本の魚沼コシヒカリのような位置づけ。この池上弁當が池上郡の駅弁屋発祥で、現在は台湾各地の街中に店舗がある。多くの店は店内調理でイートイン席もある。台北市内で訪れた池上弁當の店は、壁にずらりと並ぶ40種類もの木札の品書きが圧巻だった。

現地の鮭弁当、「鮭魚飯」を注文。目の前で木製の弁当箱に、ごはん、その上に野菜炒めや煮玉子、切り昆布の炒め物などのおかずを乗せ、最後に焼き鮭ならぬ揚げ鮭の切り身を乗せて完成だ。イートイン席ですぐに弁当を開いた。できたてのごはんは硬すぎず、軟らかすぎず、程よい食感。



とは言え、冷めたらやはり同じでは……と思い、池上米を購入して日本の炊飯器で炊いてみた。すると、冷めても硬くならず、塩むすびでもおいしかった。

日本人がごはんを単品で楽しめるのは、「お米がおいしいからだ」と言う日本人は多い。しかし、少なくとも私が炊飯して食べた池上米は、冷めた白ごはんでも十分おいしく、日本人が抱きがちな「日本米はおいしい」「外国米はおいしくない」というのはステレオタイプだと身を以て感じた。

では、世界で日本米や日本米食文化はどんな可能性があるのだろうか? 次回から紹介していきたい。

文=柏木智帆

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