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2018.07.02 15:00

元ヴィクトリアズ・シークレット社員が放つ「新時代の下着」

Jonathan Weiss / Shutterstock.com

Jonathan Weiss / Shutterstock.com

2016年4月、ミシェル・コルデイロ・グラントは、商品ディレクターとして5年間働いたヴィクトリアズ・シークレットを退社した。「レースがあしらわれた、ワイヤー入りの寄せて上げるブラ」に代表される、女性下着の伝統を打ち破りたいと思ったのだという。そして同年、アスレジャーファッションにヒントを得たD2Cの女性下着ブランド「ライブリー(Lively)」を立ち上げた。
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「私にとってライブリーの設立は、YOLO(You Only Live Once=人生一度きりなのだから思い切るという意味)な出来事だった。これまでに学んだことをすべて手放した」とグラントは振り返る。

米国の女性下着市場は130億ドル(約1.44兆円)。そのうちの35〜40%を、全米に1170店舗を構えるヴィクトリアズ・シークレットが占める。近年、エアリー(aerie)やアドア・ミー(Adore Me)、サードラブ(ThirdLove)、トゥルー&コー(True & Co)といった新興ブランドが売上を伸ばしているとはいえ、年商70億ドルのヴィクトリアズ・シークレットの牙城は崩れそうにない。

しかし15年以上の小売業界の経験を持つグラントは、かつての雇用主にも盲点があると感じていた。「ヴィクトリアズ・シークレットでは、マタニティブラの需要や着心地の楽さが議題に上がることは滅多になかった。エンジェル(同社と契約するトップモデル)たちが体現するファンタジーの世界を追求するあまり、現実的な視点が欠けていた」
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グラントはその原因を、ヴィクトリアズ・シークレットでは男性が決定権を握っていたからだと分析する。ライブリーの社員は設立当初は4人、現在は15人おり、全員女性だ。彼女たちが生み出す同社のブラは、スポーツウェアや水着を思わせる機能的な素材と形に、ヤシの葉などの柄や通気性のいいレースをあしらったものが多い。商品開発の際にアスレジャーを参考にした経緯について、グラントは次のように話す。

「従来の下着にこだわらず、自分たちが普段愛用している物を持ち寄ったら、アスレジャーが集まった。そこから出発して、様々な実験を重ねた。自分たちでも何をやっているのかよくわからなかったけれど、他のメーカーとは違うものを作り出している実感があった。アスレジャー(athleisure)からヒントを得た機能的な下着(lingerie)ということで、私たちは商品を『leisurée』と読んでいる」

設立から2年も経たないうちに、ライブリーはGGV Capitalと複数のエンジェル投資家から総額550万ドル(約6億円)を資金調達した。セールスも好調で、フォーブスの推計ではこの10カ月間の売上は1000万ドル(約11億円)を超える。

グラントによると、最初に投資家の注目を得られたのは、インスタグラムを活用したインフルエンサー・マーケティングによるところが大きいが、最近はポップアップストアの成功が売上増加に影響しているという。

「ポップアップストアは、小売の新しいあり方、つまりブランドをブランドたらしめているものは何か? を探し求めた結果だ。単なる売り場ではなく、体験の場にしたいと思った」

通常の実店舗を数カ所に作ったところで、ヴィクトリアズ・シークレットのような大手には太刀打ちできない。それよりも、消費者と密に交流できる場を作り、ブランドのファンを着実に増やす戦略にグラントは賭けた。
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編集=海田恭子

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