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2018.07.01 12:00

スバルの新フォレスター、顔認証機能で運転者を「おもてなし」

それはまるで、黙って「いつもの席」に座ると、「いつものコーヒー」を出してくれる老舗カフェのよう。僕も実際に、自分のドライビング・ポジションを入力してから、さっと運転席に座ってみると、クルマが素早くシートやミラーの位置を自動で合わせてくれた。

運転中でもこの顔認識DMSがインパネ内臓のカメラを使い、常にドライバーのわき見運転や疲れをチェックして、必要に応じて、警告してくれる。



このDMSこそ、スバルの有名な安全装備アイサイトの延長線だと言える。緊急自動ブレーキなどを作動させる安全装備アイサイトver.3の進化版と共に、新フォレスターに採用される。

もう1つ話題になったのは、ターボ仕様がライナップから消えたことだ。スバルは昔から、ターボ車などの燃費があまりよくないと言われてきた。そこで今回、会社のイメチェンを図ると同時に、ライバルメーカーの燃費性に近づけるため、水平対向4気筒の2.5リッターの他に、2リッターNA+マイルドハイブリッドを搭載するe-BOXERも加えた。

先代XVと先代インプレッサスポーツに搭載されたのと同様のハイブリッドだが、ポイントは2つ。1つは今までにない18km/Lの優れた燃費を実現させること。

もう1つは、30〜50km/hの速度域でのアシスト。例えば、40km/hからの急加速をする時に、そのマイルドハイブリッドのおかげで、アクセルレスポンスがよりシャープになったからこそ、加速性が良くなった。でも、少し犠牲にされたものもある。正直なところ、燃費と低速度域での反応が良くなったと言っても、145psを発揮するハイブリッドのe-BOXERは、上り坂でのパワー不足を多少感じることがある。

もっとスポーティに乗りたい人は、184psを発揮する2.5Lに乗って欲しい。頻繁に4人以上で乗ったり、ツーリングをするようなユーザーには特に、この仕様がおすすめだ。燃費は約14km/Lだが、やはり2.5Lの方がいろんなシーンにマッチングする気がした。特に旧型車と乗り比べた時に、上り坂でもパワー不足は感じなかったし、むしろ車は軽くなった印象もあった。

スバルというと当然、駆動方式は従来と同じ水平対向ボクサーエンジンとAWDのコンビだ。そこに、SGPプラットフォームを採用すれば、走りと乗り心地が良くならないはずがない。コーナーたっぷりの周りくねったコースを120km/hまで走らせたが、新フォレスターは今まで以上にロールせず、コーナー中に驚くほどフラットな姿勢を保った。

僕が一押しする2.5Lで回った時に感じたのは、ステアリングの重さがちょうど良くてより正確になり、シャシーの剛性が上がっているので、コーナリング限界が増し、急ブレーキでもノーズダイブしないということ。でも、不思議なことにハンドリングがシャープになっても、決して乗り心地を犠牲にしない。

泥のある悪路も体験したが、新しく追加されたXモードを作動させなくても、本来のシャシーと4輪駆動だけでほとんどどんな道でも楽に上り下りできる。



ターボ車を廃止したことで、失う顧客は多少いるらしい。また、ルックスは現行モデルとそれほど変わっているわけではない。それでも走り、乗り心地、安全性、質感が向上したことや、このクラスで初採用となる顔認識ドライバー・モニタリング・システムが搭載されたことで、 人気上昇中のSUV市場での新型フォレスターの競争力は上がってくるのではないだろうか。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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