スバルの新フォレスター、顔認証機能で運転者を「おもてなし」

スバルの新フォレスター(写真提供スバル)

スバルのフォレスターは、たとえて言えば俳優マーク・ウォールバーグみたいなクルマだ。映画「ローン・サバイバー」や「トランスフォーマー」などで彼が演じたヒーローぶりは、ちょうどフォレスターに当てはまると思う。

見た目はハンサムでもないけど、どのライバルと並んでもサマになる。でも何よりも、(彼の演じるヒーローは)筋肉質で頼もしく、どの場面でも絶対に救ってくれる素質を持っている──。

5代目となる新フォレスターは、その頼もしさを受け継ぐと同時に、新技術を採用し、クラス・トップレベルの快適性と安全性能を実現した。この進化により、凄まじい人気と販売力を保っていけるだろうか? その走りを確かめるべく伊豆のサイクル・スポーツ・センターで試乗してきた。

1997年に初めて登場したフォレスターは、手頃な価格でどの路面でも安全に走れる耐久性のよいクルマということで一躍人気者になった。今現在のスバルのラインアップの中で、最も重要な車種の1つだ。グローバルでの販売台数は28万台で、スバルの販売するクルマの10台に3台はフォレスターということになる。アメリカだけで見ても、なんと毎年17万7千台以上が販売されている。

日本ではインプレッサ、XV、レヴォーグについでスバルで4番人気の車種だが、アメリカでこれほど強い需要があるのは、やはりアメリカ人のライフスタイルにピッタリと合っているからだ。

5人の大人が乗れて、荷物も沢山積めること。ルックスは美しいというより、タフに見えること。業界一流の4WDパワートレーンで走りが楽しいこと。どの路面にも対応できること。アイサイトという高評価の安全装備。そして何よりも、手頃な価格。
 
だからこそ、北米での販売戦略は下手にいじるわけにはいかない。つまり、技術的には向上させてもいいけど、ルックスや存在感をあまり変えないほうがいいのだ。

フォレスターの新型の外観は、とにかくキープコンセプト。旧型と新型はよく見比べなければその違いがわからないほどで、グリル、ヘッドライト、テールライトなどがさりげなく一新されている程度だ。しかし、正直なところ、新型のグリルとライトのバランスの方がうまくまとまっていていいと思う。



新型フォレスターの一番の特徴は、現行のインプレッサから採用が開始されたスバル・グローバルプラットフォームを使ったことだ。ボディの全長や全幅が多少伸びているが、全高は旧型とほぼ同様なので、新型車は先代モデルよりもワイドに見える。

室内に関しても外観と同じ印象で、旧型モデルと比べると各部が洗練されたうえ、力強さやSUVらしさを今まで以上に意識できるものとなった。特に気に入ったのは大人っぽさをさりげなく表現している外装の新色ジャスパーグリーンとタン色の内装の組み合わせだ。



新プラットフォームの他に注目されているのは、400万円以下のクラスで初採用の顔認識ドライバー・モニタリング・システム(DMS)だ。つまり、事前にドライバーの情報を入力すれば、運転者が運転席に座ると、その人に合わせてシートポジションやミラー位置、エアコン設定温度などを自動的に変更してくれる。まるでクルマによる「おもてなし」だ。

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文=ピーター・ライオン

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