Zooxはオーストラリア出身のTim Kentley-Klayによって設立された。同社はハンドルやペダルのない完全自動運転のEVタクシーを2020年までに開発することを目指しており、500名の従業員のうち少なくとも80名はテスラ出身だ。
「彼らはみんな非常に優秀だが、テスラ出身者だから雇用しているのではない。我々が成し遂げようとしていることは非常に野心的で困難なことであり、最も優れた人材を確保する必要がある」とKentley-Klayは話す。
今月、ハードウェアエンジニアリング担当のバイスプレジデントとしてZooxに入社したBrijesh Tripathiは、テスラのオートパイロットチームでハードウェアエンジニアリングの責任者を2年間務めた経歴を持つ。Tripathiをテスラに誘ったのは、アップル時代の同僚でチップデザイナーのJim Kellerだ。Kellerもオートパイロットチームでバイスプレジデントを務めた後にテスラを去り、今年4月にインテルに入社した。
イーロン・マスクは自動運転車業界のリーダーになることを目指しているが、テスラは最先端のLiDARセンサーを車両に搭載できていない。これに対し、Zooxは自社でロボットタクシーのフリートを管理・運行する戦略をとっており、この点がTripathiの興味をそそったという。
「テスラの車両は個人所有を前提にしているため、機能やコスト面でハードウェアに制約が生じる。一方、Zooxが目指すのはあくまでオンデマンドのロボットタクシーだ。エンジニアリングの観点では、業務利用を前提としたプロダクトのほうが自由度が高い」とTripathiは話す。
Kentley-Klay と共にZooxを設立したJesse Levinsonは、スタンフォード大学の著名AI研究者だ。二人は、将来的に都市部で車を所有しなくても済むようなモビリティサービスの提供を目指している。
Zooxのビジョンは多くのVCの共感を得て、これまでに3億6000万ドル(約400億円)の資金を調達している。しかし、全く新しい形態のEVをゼロから開発するためには莫大な資金が必要であり、同社は現在シリーズBラウンドでさらに多くの資金を調達することを目指している。
テスラは最近、全従業員の9%に当たる約4000人を削減することを明らかにした。Kentley-Klayは、これらの人材の採用については明言を避けたが、今ごろZooxの人事部にテスラ出身者の履歴書があふれていても不思議ではない。