しかし、もう一つの理由は乗客数ではなく、乗客自身かもしれない。スタンステッド空港では、最大の運行会社であるライアンエアに加え、イージージェット、プリメーラ・エア、ユーロウイングス、ジェットツー・ドットコムが発着便を提供し、欧州接続便数ではミュンヘンに次いで世界第2位だ。
つまり、スタンステッド航空利用客の多くは、できる限り出費を抑えたい、低予算のミレニアル世代なのだ。スタンステッドから「床での寝具や折り畳み式ベッド、寝袋、その他の持ち運び寝具の使用を禁止する」という公式発表がされたのもこのためだ。空港では、旅行客を空港で寝る代わり、近隣の宿泊施設に誘導している。スタンステッドによると最低料金は20ポンド(約3000円)とのことだが、1晩140ポンド(約2万円)かかるという声もある。
スタンステッドの輸送量は昨年、6.5%増加した。エミレーツ航空がドバイとスタンステッドを結ぶ便を6月新たに就航させ、プリメーラ・エアもニューヨークやボストン、トロント行きの便を就航させるため、輸送量は2018年も伸び続ける見通しだ。
就航便が増えれば利用客も増え、フライトの遅延や欠航の増加も避けられない。スタンステッド空港は現在の方針を撤回し、疲れた旅行客に空港での仮眠を許すようになるだろうか? それとも、他空港もスタンステッドとモスクワの各空港に続き、仮眠を禁止するようになるだろうか?
こうした方針が、低予算の旅行客に影響を与えるのは明白だ。しかしそれだけではなく、空港のホテルにたった数時間滞在するために高額な宿泊費を払うことを希望しないあらゆる旅行客に影響を与える可能性もある。だがスタンステッド空港のウェブサイトに書かれているように、「私たちが空港での体験を改善する間、どうぞご理解をお願いします」ということだろう。