仮想通貨業界、求められる高いマネロン意識[週間ビットコイン動向]

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先週末からここまでのビットコイン価格は、60万円台後半で推移している。22日(金)の15時55分、金融庁のHP上で仮想通貨取引所6社に対する行政処分が発表された。ある程度、事前の報道で伝わっていた部分もあったが、国内最大手bitFlyerに対する処分は非常に厳しい内容であった。

投資家はその内容を嫌気して売りを強め、ビットコインは一時65万円台(フィスコ仮想通貨取引所)まで下落した。下げ一巡後は、60万円台後半で推移しているが明確な反発は見られない。

規制強化は利用者保護につながり中長期的には買い要因になると筆者は考えているが、処分内容を精査すると業界がクリアしなくてはならない項目は多く、投資家はその実現性に懐疑心を抱いているように思える。仮想通貨売買でのシェアが大きい日本のモメンタム低下は、ビットコイン価格に大きな影響を与えている。

仮想通貨業界が求められている様々な水準は日に日に高まっていると感じる。大雑把に水準といっても多々あるが、細かく列挙すると下記の通りだろう。

・利用者保護の体制構築
・アンチ・マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)
・コンプライアンス
・従業員教育
・リスクコントロール(システム、内部管理体制含む)
・経営管理体制の構築

詳細を挙げるときりがないが、ざっとこの辺りだろうか。銀行や証券など既存の金融サービスでは常識的な内容ではあるが、仮想通貨業界が決定的に不足している点は上記の内容であろう。この辺に関しては、これまでのコラムでも指摘しているので本稿では割愛するが、筆者自身、関係各所とのコミュニケーションを重ねるなか、既存の金融と同じ目線が必要と強く認識させられる。

とりわけAML/CFTに関しては、仮想通貨業界だけではなく既存の金融サービスに求められる考え方はより複雑となりつつある。AML/CFTに係る政府間会合であるFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)による第4次対日審査を2019年に控え、銀行を含む金融機関全体の体制強化が急務となっていることが関係している。
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文=田代 昌之

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