これにより裁判所の業務を効率化させ、審理の正確さを向上させようとしている。「人工知能+裁判所」と名づけられたこの試みは、既に中国各地の400に及ぶ法廷でテストが重ねられている。
iFlytekのAI技術は現在、画像や音声認識テクノロジーを用いた証拠物件の確認やフィルタリング、審理過程の効率化や裁判の進行管理に用いられている。同社のテクノロジーは特に中国語の音声認識に強みを持ち、声による身元確認や裁判に関わる人々の発言の書き起こしに役立てられる。原告や被告、事件の目撃者らの証言をリアルタイムでテキストに記録することが可能だ。
AIの裁判所での活用はまだ始まったばかりだが、iFlytekのテクノロジーは法廷審問にかかる時間を、30%短縮できたというデータもある。音声認識技術の活用で、審理内容を正確に記録し管理できることは大きな前進といえる。
iFlytekのテクノロジーは中国科学院によると、中国語の音声認識技術においてはアップルのSiriを上回る性能を持つという。同社は裁判所以外にも地方政府や警察、銀行などからAIベースの管理プラットフォーム開発を受注している。現地のベンチャーキャピタリストによると、これらの分野はセキュリティ上の理由から外資企業の参入が極めて困難だという。
1999年創業のiFlytekは中国科学技術大学とも提携を結び、上海の高級人民法でもトライアルを行なった。同社会長のLiu Qingfengは現地メディア「China Daily」の取材に対し次のように述べている。
「我が社のテクノロジーは現在、裁判所で4つの分野の審理において活用されている。殺人や窃盗、電話を用いた詐欺事件や違法な資金調達といった分野だ」
Liuによると裁判所でのAI技術の適用領域は、今年の年末までに79種類の分野に拡大する見込みだという。