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2018.06.30 19:30

ワインの「最高資格」保持者がスペインに集結 日本ワインも話題に

「世界の新しいワイン産地」をテーマとしたパネル・ディスカッションの様子(2018年6月撮影)

「世界の新しいワイン産地」をテーマとしたパネル・ディスカッションの様子(2018年6月撮影)

6月半ば、スペインのワイン産地であるリオハ地方のログローニョで、マスター・オブ・ワイン協会(Institute of Masters of Wine)主催のワイン・シンポジウムが4日間にわたって開催された。
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このシンポジウムは、4年に1度開催される。第9回目となる今回は、世界中から、マスター・オブ・ワイン有資格者をはじめとする、約450名のワインのプロフェッショナルが集まった。

ワインの巨匠「マスター・オブ・ワイン」とは

「マスター・オブ・ワイン」(MW)とは、ワイン・トレードの中心であるロンドンに本拠地を置くMW協会が認定する資格だ。60年以上の歴史があり、2018年3月時点で、世界28カ国に370名のMW有資格者がいる。その数は年々増え、影響力も広がっている。
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わたしの住む米国では、Court of Master Sommeliers(ソムリエ協会)の最高資格である「マスター・ソムリエ」(MS)と、この「マスター・オブ・ワイン」がワイン業界の最高峰の資格として位置づけられている。有資格者は名前の後に「MS」や「MW」の称号を付けられる。

日本では、2015年に資格を取得した大橋健一さんが、日本在住の唯一のMWである。現在、MWプログラムに所属し、資格取得に挑戦している日本人もいるので、将来的に増えることが期待される。

MWになるための試験は、論文(セオリー)試験と、ワイン試飲の実技(プラクティカル)試験から構成される。セオリーの試験は、栽培、醸造、ワインビジネス、ワインに関連した時事問題といった、ワインの様々な側面から出題される。

実技試験は、計36本のワインをブラインドで試飲し、それぞれについて詳細な分析を論理的に書き記す。世界のあらゆるワイン産地から、スティル・ワインのみならず、スパークリング、酒精強化、甘口ワインといった様々な種類のワインが出題される。試験期間は4日間にわたり、体力的にも精神的にもハードな試験だ。

両方の試験に合格すると、6000〜1万字の研究論文を提出し、審査に通ると、晴れて「MW」になる。

まずは、MW試験を受けるために、MWプログラムに入る選考を受ける。プログラムに入ってから最短で3~4年で取得可能だが、通常はそれ以上の時間がかかる。10年近くかけて取得することも珍しくない。非常に難易度の高い資格である。
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文=島悠里

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