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2018.06.30

なぜ日本の衣服産業は世界で勝てないのか

「衣服」に関わる1200年の伝統を誇る京都西陣織の老舗12代目と、インターネットによる衣料生産プラットフォームを運営する経営者との対談。第1回では「衣服」に関わる者同士、それぞれの原点について対話が展開した。対談第2回では、革新的な取り組みを続ける2人の間で「伝統をいかにアップデートしていくか」という話題で盛り上がる。(本記事ではダイジェスト版をお送りします。全文はこちらをご覧ください)


生き残るためには変わらなければならない

河野秀和(以下、河野):15年前に全国に1万5000もあった縫製工場が今は約6000まで激減しているんです。そのうち、我々は約400工場と取り引きしています。

細尾真孝(以下、細尾):我々の西陣織もここ30年で市場が10分の1まで縮小しており、大変厳しい状況です。

河野:そんなに減っているんですね。だからこそ、海外や他分野への進出に積極的なんですね。

細尾:そうなんですよ。市場の縮小が、逆にチャンスになると。ところで河野さんは、そうした協力工場を見つけてネットワークに加わってもらうのに苦労しませんでしたか。

河野:もちろん最初は苦労しましたが、大量生産、大量消費の時代が過ぎ去り、縫製業界全体が「多品種・小ロット」生産にシフトつつあったので、危機意識の高い工場ほど、私たちの想いに賛同し、パートナーとしてネットワークに加わってくれました。起業したタイミングがよかったんだと思います。

細尾:僕が実家に戻ったとき、西陣織の業界は超保守的で、変わらないことが自分たちの強みであり矜持だ、という意識が強かったのですが、最近はそうでもなくなりました。よき伝統を残し、未来に受け継いでいくためには、ある部分を変えていかなければならないことに気づき始めたのです。

僕の場合、世界的な建築家であるピーター・マリノ氏から、西陣織を建物の壁面の素材に使えないか、と相談されたのが変化のきっかけでした。それには32センチ幅の生地しか織れない従来の織機では対応できないので、150センチ幅が織れる新しい織機を開発したんです。まずは1台つくり、年1台ずつ増やしていき、今は6台あります。その織機を操作できる20〜30代の若い職人も育ってきました。新しい技術が確実に次の世代にバトンタッチされています。

全文は「サントス ドゥ カルティエ」スペシャルサイトにて

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河野秀和◎1975年熊本県生まれ。メーカー、外資系金融機関を経て、独学で経営学を学ぶ。2013年に米サンフランシスコ・シリコンバレーで最先端のIT・テクノロジーを導入したサービスやシステムの開発等を学び、ベンチャー企業を取り巻く法律などの見識も高める。帰国後、14年に衣服生産のプラットフォーム「シタテル株式会社」を設立。

細尾真孝◎元禄年間に織物業を創業した西陣織老舗、細尾家に生まれる。大学卒業後、音楽活動を経て、大手ジュエリーメーカーに入社。その後、2008年細尾に入社。「伝統工芸」を担う同世代の若手後継者によるプロジェクト「GO ON」のメンバーとして活動中。16年7月よりマサチューセッツ工科大学(MIT)ディレクターズフェロー(特別研究員)に就任。

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