では、代わりに何と尋ねるべきか? 「最近何か問題はないか?」や「障害になっていることは何?」、「最近、仕事でもどかしさを感じていることは?」と聞いてみるとよい。こうした質問の目的は、従業員が仕事上で直面している問題に関するリアルな情報を引き出すこと。具体的な問題点が明らかにならないと、建設的な対応はできないからだ。
問題点が明らかになったら次に、それに建設的に対応すること。自分の立場を守ろうと反論がましいことを言ってはいけない。例えば、ある従業員はこう言うかもしれない。「主な問題は、あなたが仕事を受けてから数日経った後で私に振ってくることです。早く渡してくれれば平日に終わらせられたものを、結局週末も働かなければなりません」
耳の痛い話かもしれないが、従業員と信頼関係を築きたいのであれば、建設的に対処すること。自己弁護的な態度は決して示してはいけない。従業員へは「話してくれてありがとう。そのような目に遭わせていたとは気づかなかった」などと答えるべきだ。自分の気持ちを押しとどめ、従業員の批判に感謝の言葉を言えれば、建設的な対応の第一歩となる。
建設的に対応するための最後のステップは、従業員が抱えているかもしれない問題の“解決”を焦らないことだ。リーダーはよく、問題点を耳にしたら解決人になりたがる。従業員がオフィスを訪れ、「経理部から期限通りにデータが上がってきません」と訴えると、多くのリーダーは経理部へ電話し、問題解決を図ろうとするだろう。
しかし多くの場合、問題点を相談に来る従業員は、自分を脇に押しのけて代わりに問題を解決してしまう人を求めているのではなく、相談役や自分の意見を認めてくれる人を求めているのだ。従業員に対しては、「私はどう助けになれる?」や、「これまで取った解決策は?」、「最も良い解決法は何だと思う?」などと尋ねるべきだ。
問題を相談してきた従業員に建設的に対応するには、管理者としてではなく、コーチとして接すること。部下に質問をすることで、相手のアイデアを学び共有する機会を与え、相手に信頼を置いていることを強調し、上司と部下という上下関係ではなく同等に感じられる関係を築くことができる。