部下との信頼関係 最短で築くための方法は

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筆者が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」では、『職場での信頼関係を築く方法』と題した調査で、7000人以上に対し、自分のリーダーを信頼する/しない理由を聞いた。まず判明したのが、従業員忠誠度の約32%が、上司に対する信頼感に由来すること。つまり、従業員の上司に対する信頼は非常に重要だということだ。

しかし、従業員はどうすれば上司を信頼できるのだろうか? 調査データを回帰分析したところ、従業員が上司を信頼するかどうかを左右する最も大きな要因は、従業員が仕事上の問題を相談した時に建設的に応えてくれると感じるかどうかにあることがわかった。

しかし、これには大きな問題がある。リーダーシップIQでは最近、2万7048人の経営者・マネジャー・従業員を対象とした『従業員からのフィードバックを無視することのリスク』という調査も実施。得られた結果のひとつに、自分のリーダーに仕事上の問題点を相談した際、リーダーが“常に”建設的に対応してくれると回答した割合はわずか23%だった一方で、“全く”建設的に対応してくれないとの回答が17%だったことがある。“常に”(23%)と“頻繁に”(22%)を合わせてもなお、自分のリーダーが建設的に相談に乗ってくると感じている従業員は半分に満たなかった。

なぜこれが重要なのか? 理由のひとつは、リーダーが常に建設的に相談に乗ってくれると考える従業員は、自分の企業を素晴らしい雇い主だとして他者に推薦する可能性が約12倍高まるという調査結果がある。

ではどうすれば、従業員が仕事上の問題を相談してきた時にすぐ建設的に対応できるのだろう?

まず従業員に、仕事上の問題点を実際に相談するように促すこと。そのために、「調子はどう?」などと尋ねるのは止めることだ。無害な質問にも思えるが、これは本物の質問ではない。価値のある情報を求めたり提示したりしない儀礼的会話であり、言語学者はこれを「交感的言語使用」や「発話行為」と呼ぶ。情報を引き出すことを目的とした質問ではあるものの、「調子はどう?」と聞かれた人はたいてい、「全て順調です」と答える。
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編集=遠藤宗生

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