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モバイル決済がイノベーションを加速

中国ではアリペイやWeChatペイの普及によるキャッシュレス化の進展を追い風にして、ドックレスの自転車シェアや無人コンビニ、仮想ギフトなどのサービスが次々と誕生している。一方、欧米には中国のように圧倒的なシェアを持つ、コマースやメッセージングのプラットフォームが存在しない。

中国の中央銀行は8億人の財務データを保有しているが、このうちクレジットヒストリーがあるのは3億2000万人に過ぎない。成人人口10万人当たりの銀行支店数数は、米国が27.8であるのに対し、中国はわずか8.8だ。金融インフラを整備するため、中国政府は民間企業8社に対してソーシャルクレジットスコアを構築するためのライセンスを付与した。この中には、中国で最も普及している決済プラットフォームを運用するアリババとテンセントも含まれる。

現状、最も広く利用されている信用スコアサービスは、アリババが手掛ける「セサミクレジット(芝麻信用)」だ。信用スコアのレンジは350〜950点となっており、スコアが高ければ各種ローンや車のレンタルの優遇、ホテルや空港でのチェックイン時間の短縮といった恩恵が受けられる。

中国では、信用スコアも独自の進化を遂げ、新たな金融商品の開発などにつながっている。欧米では銀行口座を持たない層は金融商品の対象外となっているが、中国では新たに信用スコアシステムを作り上げたことにより、幅広い層を対象とした金融サービスのエコシステムが構築された。

中国発のアイデアがグローバルを目指す

中国発の優れたビジネスモデルは、枚挙にいとまがない。「GSR Ventures」の調査によると、2007年以降にコンシューマテクノロジー企業が調達した資金額を米中で比較すると、中国が2750億ドル(約30兆円)と米国の1730億ドルを大幅に上回っている。

中国発のビジネスモデルが米国に上陸する事例は既に起きている。DCMも投資する企業の「Limebike」は、ドックレスの自転車シェアリングサービスが米国でも通用すると考えた起業家たちによって設立された。同社は現在、米国で50ものコミュニティにサービスを提供しており、業界で最も初期に米国とEUで同時に事業を展開する企業の1社となった。

同じくDCMが出資をする「Musical.ly」も、上海を拠点とするメンバーが創業したスタートアップだが、中国発のコンセプトを海外市場に輸出して成功している。

シリコンバレーは引き続き新しいテクノロジーを輩出し続けるだろうが、今後は米国外で生まれたアイデアがそれらのテクノロジーの成長を牽引していくだろう。その兆しは既に出ており、米国発のビジネスモデルを他国に展開するのではなく、海外発のビジネスモデルを米国に導入するケースがますます増えるだろう。

編集=上田裕資

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