ビジネス

2018.06.28 15:00

アジアのカジノ、米中貿易戦争の巻き添えに?


格好の「標的」

マカオを訪れる旅行者のうち、3分の2近くを本土の中国人が占めている。同地のカジノのゲーミング収益の90%をもたらすのが、これらの人たちだ。また、マカオのゲーミング収益はラスベガスのおよそ5倍に上る。

米企業がマカオで運営するカジノをはじめ、中国人に人気の施設などは特に、中国政府の「ウォレット外交」の影響を受けやすい。そして、米国にとっては不吉なことに、中国との貿易戦争の可能性が高まるなか、米企業がマカオで運営するカジノの営業権が期限切れに近づいている。

米国のカジノ運営大手、ラスベガス・サンズとウィン・リゾーツ、MGMリゾーツ・インターナショナルは香港で上場している子会社を通じて、マカオでのカジノ営業権を取得している。MGMの営業権は期間が2020年3月まで。ほか2社は、2022年までだ。

MGMは先ごろ、総事業費40億ドル近くをかけた新たな施設をマカオ・コタイにオープンさせたばかり。ライン社長はこの施設について、中国当局にとっての格好の標的だと指摘している。

同社長はまた、「(ラスベガス・サンズ会長兼CEOの)シェルドン・アデルソンにとってのリスクは大きい」と話す。

「アデルソンがトランプ支持者だということを理由に、中国政府が彼のカジノを標的にする可能性はかなり高い。サンズ・マカオへの警察の監視を強め、当局に調べられているという利用客の恐怖心を高めようとするかもしれない。会計監査を行う可能性もある」

「いずれの行動を取るにしても、中国政府が腐敗や脱税に対する取り締まりだと主張すれば、一見もっともらしい根拠があるようにはみえるだろう──韓国との“戦い”において、中国がロッテを攻撃したのと同じように」

編集=木内涼子

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