クライアントに「夜眠れない理由」を聞くことの大切さ

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あなたは自分のクライアントに対し、夜に頭から離れず眠れないような悩みはあるかどうかを尋ねているだろうか?

カリフォルニア州アナハイムで先日行われたスピーキング・コンサルタンツ・ネットワーク(SCN)の年次総会で、米陸軍のベッキー・ハルステッド元准将は、デザイナーのケイト・スペードと人気シェフのアンソニー・ボーデインという著名人2人の自殺が相次いで報じられたことを受け、冒頭の問いを提起した。

ハルステッドは2006年、米陸軍武器科センター&スクールで、女性として初めて武器科長兼総司令官(大学の学長に相当)に就任し、軍人としてのキャリアの頂点に到達したキャリアをもつ。

コンサルタントが考慮すべき5つのこと

先月2人の自殺が伝えられたことで、増加傾向にある中年層の自殺に注目が集まった。55歳だったケイト・スペードは、マンハッタンの自宅で死亡しているのを発見された。61歳だったアンソニー・ボーデインは、CNNテレビが放送する自身の人気番組『パーツ・アンノウン』の撮影のため滞在していたフランスのホテルで死亡しているのが発見された。

SCN年次総会に参加していたコンサルタントたちに対してハルステッドは、「ケイトに夜眠れない理由を尋ねた人はいたのだろうか?」と問いかけた。彼女が指摘したのは、「コンサルタントは、クライアントのビジネスの健全性に気を配るのはもちろん、クライアント自身の健康状態にも配慮すべき」という点だった。

将校時代のハルステッドは、部下の兵士たちに、重大な疑問を提起できるような、好奇心を持った兵士となるよう求めた。

ハワイでの訓練中、彼女は兵士らへ向け、1941年12月7日にオアフ島のレーダー施設で任務に就いていた陸軍中尉についての記事を投稿した。同中尉は、2人のレーダー担当官から、異常に大きな点が画面に映ったとの報告を受けた際、「気にするな」と告げた。その点は後に、真珠湾に対する奇襲攻撃に向かっていた180機以上の日本軍機であることが判明した。

中尉がもっと好奇心を持ち、米軍が攻撃に備えることができれば、多くの生命を救えた可能性がある、とハルステッドは指摘した。

ハルステッドは、従軍時代のリーダーシップ原則と教訓を、コンサルタントが取り組まなければいけないことに応用。全てのコンサルタントが考慮すべきシンプルな事実を、次のように掲げている。

1. 人には、率いるべき人物が少なくとも1人いる。それは“自分自身”だ

2. リーダーシップは自分の選択

3.
各人には独自の“リーダーDNA”があり、他とは違う率い方をする

4.
人には強みと弱みの両方がある。強みを特定し、弱みを管理しなければいけない

5.
自分自身をより良く率いることができれば、他人を率いるのも上手くなる

陸軍で輝かしいキャリアを築いたハルステッドだが、退役の理由は健康上の問題だった。ハルステッドは、SCN年次総会での講演に集まった125人のコンサルタントにこう語った。「陸軍では今より体が鍛えられていた。でも、今の方が健康だ」

編集=遠藤宗生

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