いつも説明不足の上司 部下への効果的な指示の出し方は?

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私がキャリア初期に出会ったある上司は、不明瞭な仕事の指示を出すのが得意中の得意だった。

彼女は、例えばあるプロジェクトについて「ジョアンとあなたに、この仕事を片付けてほしい」と言うのだが、仕事内容や期限、プロジェクトの主導人物など、具体的な情報を挙げることはほとんどなかった。私とジョアンは、誰が何を、誰にどういう理由で行うのか理解できないまま、顔を見合わせたものだ。

より詳細な情報を求めると、「今は急いでいるから全てを説明する時間はないけれど、重要なことだから何しろすぐに始めてほしい」と言われることが多かった。そのため、私たちはとりあえず仕事に取り掛かるのだが、向かう方向や目的地がぼんやりとしか分からないまま、地図も持たずに旅に出かけるようなものだった。

質問がないことは良くないこと

マネジメントが明確な指示を与えないことで、会社がどれほどの時間、金銭、生産性を失っているかに関する具体的なデータを見つけることは難しい。(個人的には、経営学の学術研究のテーマにぴったりだと思う)。しかし、その額は非常に大きいはずだ。

それでは、管理職と従業員の両方の立場で新たな仕事の割り当てプロセスを明確化するにはどうすれば良いのだろう? 難しいことは何もない。少しの論理と努力が必要なだけだ。

マネジメントの方では、新たな仕事を任せる際に十分な時間を取ることだ。空港から急いで電話をかけたり、電話会議の短い休憩時間に急いで電話したりして部下に指示を出してはいけない。プロジェクトの目的と、重要な成果物、締め切り、プロジェクトの主導が誰かをきっちりと説明し、できるだけ多くの不安定要素を取り除くべきだ。

私が管理職として部下に新たな仕事を任せるとき、次のような言葉を添えることが多かった。

「このプロジェクトについて何か理解できないことがあれば、聞いてくれて全く構いません。私に説明不足な点があれば今の時点で聞いてもらいたいし、プロジェクトの進行中により詳細な指示が必要になれば、いつでも質問してほしい。私はあなたの時間も、会社の時間も無駄にしたくはない。質問がないことは良くないこと。ためらわず質問してほしい」

従業員の方では、プロジェクトをできる限り明確化するよう求める権利があるし、そうすることで実はマネジメント側にも良いことがある。目的や成果物、タイミング、リーダーシップなどに関して追加で説明を求めるのをためらわないこと。そうすれば、どこに向かうべきか、なぜそれを実行すべきなのかを確実に理解して、新たな仕事に取り掛かれる。

私はよく、マネジメントを成功させるために最も必要とされているのは常識だと話している。しかし、常識がいつも実践されているとは限らない。説明不足もまさに、こうした例の一つだ。

翻訳・編集=出田静

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