私はこの時のことをはっきりと記憶している。なぜならヘロルドが私たちに全て書き出させたからだ。そこに名前があった人のひとりは、1年前に雇った大学時代の友人で、明らかにうまくいっていない人材だった。私は彼の名前を線で消し、移動させた。私はそれほどまでに、現実を直視したくなかったのだ。『いや、これは私の分析が誤っていたのだ』と。
振り返ると、自責の念を感じる。答えはすぐ自分の目の前にあったのだ。大学時代の仲間を解雇することは、つらい決断だった。しかし将来的に見れば、彼にとっても私にとっても正しい決断だった。
彼の価値観はおおむね合致していたが、バスの中の間違った座席に座っていた。そして私の会社には、彼が移れる別の席がなかったのだ。彼は現在、自分のスキルにより合った新しい仕事に就いている。そしてもちろん、活躍している」。
人は周囲から好かれたいもの。そして、自分の好きな人たちと一緒に働きたいものだ。しかし、いくら好感の持てる人でも、チームや組織の弊害となる可能性がある。自分なりの兆候を特定し、見逃さないこと。それは自分自身、自分の会社、そして全ての従業員に対する義務なのだ。