アマゾン社員がCEOに抗議声明「顔認証を移民捜査に使うな」

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アマゾン社員らがCEOのジェフ・ベゾスに宛てた抗議声明を公開した。彼らはアマゾンが米国の警察権力に顔認証テクノロジーを販売することの中止を求めている。

アメリカ自由人権協会(ACLU)は先日、アマゾンの顔認証システム「Rekognition」がフロリダとオレゴンの警察署向けに納入されたことを明らかにした。導入コストは極めて低く抑えられているという。フォーブスはこの問題を取材し、初期費用無料で導入されるケースもあることを突き止めていた。

アマゾンの社内フォーラムで公開された抗議声明の存在に関しては、まずニュースメディア「The Hill」が記事化し、「Gizmodo」が全文を公開した。アマゾン社員らは警察権力が顔認証技術を用いることを危険視している。さらに、アマゾンはピーター・ティールが運営するビッグデータ企業「Palantir」にも監視技術を提供しており、これも中止すべきだと述べている。

Palantirはここ最近、米国で強い非難を浴びている米移民税関捜査局(ICE)に手を貸しているとされる。ICEは米国に不法入国した親と子供らを引き離して施設に収容し、世界中の怒りを買っている。

「私たちの会社は監視ビジネスに関わるべきではない。警察権力に手を貸し、不遇な立場の人々を苦しめることをしてはならない」と書かれた声明はアマゾニアン(アマゾン社員)を名乗る人々によって署名されている。

「我々はICEを利するプラットフォームを構築することを拒否する。人権を抑圧するツールを開発することを拒否する。人権を重視するアマゾニアンたちは、自らが生み出すプロダクトの選択権と、その利用方法に対する発言権を要求する」と声明は述べている。

シリコンバレーのテック企業の間では、政府との関わりについての議論が高まっている。グーグル社員らは自社のAI技術がペンタゴンのドローン技術に利用されることに反発し、グーグルは結果的にそのプロジェクトの中止を発表した。

マイクロソフトの社員らも、同社のICEへの技術提供を非難した。同社CEOのサティア・ナデラはこれに反論し、「マイクロソフトはICEの親子の隔離措置に関わるいかなるテクノロジーも提供していない」と述べた。

ニュースサイト「The Intercept」は昨年、ピーター・ティールのPalantirがICEに対し移民監視サービスを提供し、2000万ドル(約21億円)の対価を得たと報道した。フォーブスはPalantirにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

しかし、Palantirは今月、ICEから25万ドルの契約を受注しており、2017年5月には1220万ドルの契約を締結したことが複数の情報筋から確認されている。

編集=上田裕資

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