「インクルーシブな社会」の実現に向けて


「過集中」を武器にする

読者の中に1度集中すると、ずっと止まらない、飲食することや睡眠をとることすら忘れてずっと集中して続けている、という方はいないだろうか。

そのような状況のことを「過集中」と呼ぶ。

「過集中」の傾向がある人は、1度集中をしたら他のことに目がいかず、全身を使ってひとつのことに集中することができる。アーティストや研究者、アスリートなどに多いかもしれない。極限に集中している状態は「ゾーンに入る」ともよく言われる。

自身で集中するスイッチの入れ方やスイッチの切り方を知っておき、環境側に理解があれば、すごい武器になるであろう。周りの人の目を気にせず、いまこの瞬間に集中・没頭できることは才能である。

「自分にそういう傾向がある」という人は、どんなときに過集中のスイッチが入り、どんなときにスイッチが切れるか。これらを把握しておけることで、戦略的に集中する状況をコントロールすることができる。

一方、気を付けるべき点は、過集中になると飲食することや睡眠をすることまで忘れて没頭してしまう人が多い。そのため、周りの人に「食べるように声をかけて」と伝えたり、携帯電話などを使い自分自身にリマインドできるようにすしたりすると良い。

また、過集中をした後は、ものすごく疲れやすく、エネルギー量が急にゼロになる。そのため最も集中が必要なときに集中できるよう、コントロールができると良い。

多様な集中の仕方を前提とした職場環境づくり

人は集中している時にパフォーマンスがあがる。集中ができる環境や、集中のスイッチが入る瞬間は人それぞれ異なる。組織においてそれを前提とした環境づくりができれば、全体のパフォーマンスも上がるであろう。「座っている」「静かにしている」ことが「集中している」状態とイコールではない。

前回ご紹介した感覚過敏・鈍麻さがある人がいることを前提とした職場づくりに加え、多様な集中の仕方があることを前提とした、職場環境づくりを企業にはオススメしたい。

例えば、パーテーションの利用、イヤホンや耳栓の使用、スタンディングデスクやバランスボールの貸し出し、デスク以外の場所での仕事場の確保などが良いだろう。

また、過集中の傾向にある人の中には、「切り替えが苦手」や「周りが見えない」など、周りにネガティブに捉えられがちな人も多い。

過集中な人が周りにいる場合は、その人と一緒にスイッチが入るときを見極め、その集中力を強みとして活用できる。企業はそんな仕事内容や環境をつくれるようにすべきだろう。

連載:「インクルーシブな社会」の実現に向けて
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文=野口晃菜

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