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2018.06.30

ノート、受付嬢、お礼状 転職面接に勝つための3つのアイテム

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ロビーの受付嬢に気をつけろ

次のポイントは、面接者に与える印象についてだ。朗らかで明晰、丁寧な印象の候補者を求めるという、企業側の心理は言うまでもない。しかし、そこでは見えないものこそ、企業側には重要だ。なので、むしろ人柄は、面接の前後を観察することで判断されることが多い。

例えば、私は、候補者の印象を、会社の受付嬢に聞くことを欠かさない。面接官には丁寧でも、受付嬢には上から目線の態度を取る候補者は少なくない。

早めに着いたのは結構だが、待っているロビーなどで、不用意に携帯電話で話をしていると、そこで使われている言葉が上品かそうでないか、人使いが丁寧か荒いかなど、受付嬢は耳を澄ましてよく聞いている。そういう情報が全部こちらに入ってくるのを候補者は知らない。

また、日本であれば、面接する側がエレベーターホールまで候補者を送るケースなどはあるだろうが、私は一緒にエレベーターを降り、建物の玄関でお見送りをする。すると、お互いに礼を交わして別れた後、その相手の後ろ姿にたくさんの情報が乗っかっている。

もし、この企業が本命で、良い面接ができたと思うなら、その後ろ姿は高揚や満足、期待に満ちているはずだ。そうではなく、滑り止めだったり、自分としては気が向かないがヘッドハンターに押されるなどして受けたりした面接ならば、背中が「やれやれ」と物語っている。

候補者が複数の企業を訪問しているように、企業側も「甲乙つけがたい複数の候補者を抱えている」ことが通例だ。そんなときに、高揚に満ちた背中とやれやれの背中を比べれば、どっちが良いご縁になる可能性であるかは自ずと答えが出てくる。

メールを送ったうえでお礼状を

最後にお礼状だ。転職面接ともなり、それも幹部候補に近づけば近づくほど、候補者は面接のお礼状を送るのが普通だ。しかし、みなさんが意外に思うほど、相手の名前を書き間違えていたり(アメリカ人の場合はスペルミス)、役職名を間違えていたりする礼状が多いので、一字一句、気を配って書いて欲しい。

この時代だから電子メールで充分だと思うかもしれないが、あなたにこっそりお知らせすると、実はライバルは手書きのカードを送っていることが多々ある。それはこちらも人間だから、コピペの電子メールより、手書きのカードのほうが印象に残るのは仕方がない。

さらに言えば、手紙が郵便屋さんの手にとどまっている時間にも採用判断がなされてしまうこともあるので、電子メールを送ったうえで、すぐに手書きの礼状を送るという候補者も増えている。虚礼廃止の潮流ではあるが、結局、人間対人間なので、こちらに軍配が上がるのは致し方ない。

また、候補者がその企業に惚れていればいるほど、礼状のなかに、その会社固有の具体的な魅力が書かれていることが多い。逆の場合は、すべての文章が抽象的で画一的で、にわか仕立ての礼状だということがすぐにわかる。

アメリカでも日本でも、結局、面接は人間対人間のコミュニケーションなので、いくら取り繕っても、意外なところに本性はあらわれてしまう。とくに転職の面接では、候補者もキャリアを積んでいるため油断しているケースも多い。ここで取り上げた3つのポイントに留意して、良い結果が得られることを祈っている。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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