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WAKAZEの代表取締役社長、稲川 琢磨

1973年頃をピークに、消費量は右肩下がりの状態が続く日本酒。ここ数年の間でピーク時の3分の1ほどに消費量が減少するなど、決して“景気の良い”業界ではない。

「若者の日本酒離れ」が要因のひとつとして挙げられることが多いが、新規のプレイヤーが増えないことも日本酒業界が活性化しない要因のひとつだ。酒税法の影響により、日本酒酒造免許の新規取得が非常に困難であるため、新規参入で日本酒を醸造するのは実質不可能と言われている。

右肩下がりにある業界、そして既存の蔵元を守ろうと規制を厳しくした結果、自分たちで自分たちの首を絞めてしまっているのだ。

そんな現状の中、日本酒を世界に広めることを目指し、日本酒業界で挑戦を続けているスタートアップがある。WAKAZEだ。同社は醸造を他の酒蔵に委託する「委託醸造」を軸に事業を展開。これまでにワイン樽熟成の日本酒「ORBIA(オルビア)」やボタニカルSAKE「FONIA(フォニア)」といった日本酒を販売してきた。

そんなWAKAZEが新たな動きを見せた。2018年5月、バー併設の自社醸造所「WAKAZE 三軒茶屋醸造所」の設立を発表。クラウドファンディングで資金を募り、目下施行中だという。

なぜ、自家醸造に踏み切ったのか。その理由や、今後の展望、戦略についてWAKAZEの稲川琢磨に話を聞いた。

創業直後の失敗。そこで学んだ「圧倒的な質」へのこだわり

「ワイン業界やビール業界では、委託醸造が当たり前のように行われています。しかしながら、日本酒業界ではスタンダードじゃない。世界的に見て、クラフトビール業界がここまで成長できたのは、委託醸造によって設備投資なくスタートできたことが背景にあると思います。つまり、ベンチャーが参入しやすい環境だったのです。この仕組みを日本酒業界に取り入れ、日本酒づくりに取り組んでいるのが、我々です」

WAKAZEを創業した2016年、Makuakeで最初の日本酒開発プロジェクトを企画。クラウドファンディング上では、目標金額の2倍以上の支援を集めた。一見。成功したかに見えるが、決して順風満帆なスタートではなかった、と稲川は言う。

「既存のお酒をシーン別で提案することで、日本酒の新しい価値・楽しみ方を知っていただこうと企画し商品を開発しました。しかし、実際には切り口を変える程度では“お酒としての価値”を他のブランドと明確に差別化できなかった。クラウドファンディング上では多額の支援をいただけましたし、成功したように見えるのですが……。実を言うと、1000本程度しか売れませんでした。想像以上にうまくいかなかった」

その経験を通じて、稲川はあることを学ぶ。それは「スタートアップとして日本酒業界で生き残っていくためには、飲んだ瞬間に既存のものとは圧倒的に違う“破壊力のあるプロダクト”じゃなければダメである」ということ。

そのプロジェクトでの失敗をもとに、WAKAZEが次に取り掛かったプロジェクトが、ワイン樽熟成をさせた日本酒「ORBIA」や、日本特有のボタニカル素材を使用して醸す「FONIA」の醸造だった。

文=山下貴將 写真=小田駿一

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