ビジネス

2018.06.27

VALU、再び表舞台へ──彼らが目指す信用経済のあり方、資本主義のその先

VALU代表 小川晃平



 
個人プロデュースが苦手な人が、応援されることで有名になれる世界

──VALUに対して、すでに有名な人がさらに知名度を上げるだけで、知名度の格差を助長するだけではないか、という批判もあります。すでにVALUで成功した人などはいるのでしょうか。

すでに知名度がある個人がサービス開始直後に有利なのは仕方のないことです。ただ、ずっとそのままではいけないと思っています。

これまで知名度が低かった人たちが、VALUを通じて評価されるようしたいですね。そうした人々も、少しずつではありますが増えてきています。

例えば、ペイントアーティストのSHOGENさんは、VALUで多くの人からVAを購入されるうちに彼の活動がテレビ局の目に留まり、民放番組にも出演しました。

ほかには、これまでジャンルがタコツボ化していたアイドルプロデューサーやボカロ(ボーカロイド)プロデューサーがVAの発行を通じて新たな交流が生まれたり、ミュージシャンがVALUで知り合ったイラストレーターにアルバムジャケットのデザインを依頼するなど、VALU外での活動に繋げてくれているユーザーさんはたくさんいます。

──いままでは能力があって自分をプロデュースできる人がヒットする時代でしたが、VALUなら他の人に見つけてもらったり、応援したりしてもらえる。そこから新たなつながりが生まれるということですね。最近は「Timebank(タイムバンク)」や「pixivFANBOX(ピクシブファンボックス)」など、個人の活動を支援するサービスも増えています。これらに対する差別化要因は何かありますか?

サービスの根本的な設計思想が全く異なると考えています。タイムバンクは時間単位で労働に価値をつけるという意味で「ビザスク」などと同じカテゴリー、ピクシブファンボックスはクリエイターへの投げ銭という意味で「SHOWROOM」などと同じカテゴリーだと考えています。

できることは似ていますが、根本的にはVALUと異なる文脈の上で成り立っているサービスなので、あまり競合とは思っていませんし、共存できる関係だと思います。

海外でも中国の「芝麻(ジーマ)信用」や最近リリースされたアメリカの「HEXEL」などVALUと類似のサービスが人気を得ています。国内でサービスを拡大できたら、日本と親和性のある台湾やフランスから進出していきたいと思っています。



VALUも仮想通貨も問題はまだまだ山積みなので、国やユーザーの皆さんと一緒に改善していければと思います。その先にはきっと、未来の社会に適した新たな資本主義が待っているはずです。

文=野口直希 写真=小田駿一

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