ソフトスキルは鍛錬できる? 研究結果が示す答え

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人材紹介業者や雇用主は近年、人材発掘での焦点をハードスキルよりもソフトスキルに置いている。これにはマネジメント、営業、コミュニケーション、適応性、協調性、リーダーシップ、さらには企業文化上の相性まで含まれる。さらに最近では、心の知能指数(EQ)や起業家精神なども加わった。

ほぼ全ての大企業は、独自のコンピテンシーの枠組みや人材ロードマップを作成しており、そのほとんどはソフトスキルだ。近年のソフトスキル再興の背景には、次の3つの理由がある。

1. ハードスキルだけでは不十分

ハードスキル(正式に証明できる技術的資格や経験、専門性)は、人材を判断する要素として不必要かつ不十分だ。大学に進む人は非常に多く、大学で学ぶことと企業が求めるものの間にはズレがある。

また、未来の仕事は大きく変化すると予測されている。世界経済フォーラム(WEF)によると、現在小学校に入学する子どもたちの65%は、現時点で存在しない仕事に就くとされている。またビジネス研究者のジョシュ・バーシンが最近指摘したように、機械学習エンジニアやデータサイエンティストなど一部の高度技術職を除き、需要が高い仕事はハードよりもソフトスキルを必要とすることが大半だ。

2. ソフトスキルは成功を左右する

ソフトスキルを正しく身に付けることで業績、キャリアの成功、リーダーシップ能力向上につながることは、多くの科学的証拠で示されている。

例えば、全般的な学習能力が高ければ実質的にどんな職種でも高いパフォーマンスが得られることが示されている(ただし、仕事が複雑になるにつれその重要度は増す)。また、ソフトスキルとキャリアの成功の間には、ある程度普遍的なつながりがある。特に、賢くて人に好かれ、やる気がある人は大半の状況で良い結果を残せる。

3. ソフトスキルは訓練・学習能力を左右する

多くの科学的根拠から、ソフトスキルは訓練・学習の潜在能力を左右する重要要素であることが分かっている。メタ分析による研究では、トレーニングが公式か非公式かや、ソフトとハードのどちらかにかかわらず、参加者のやる気がその人の学習能力を大きく左右することが分かった。参加者の訓練へのやる気は、良心や自信、好奇心、学習能力などに依存している。

ソフトスキル開発への関心が高まっているのも驚きではない。多くの組織や大学が、チーム構築や協働、起業家精神などのスキル向上のための活動やコースを提供している。しかし、ソフトスキルは実際どれほど向上するのだろう。3つの一般的な開発方法は次の通りだ。
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編集=遠藤宗生

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