キャリア・教育

2018.06.26 08:00

A.ラミレス監督が明かす、成果を出すチームのつくり方

横浜DeNAベイスターズ アレックス・ラミレス監督


言葉遣いを変えるだけでチームは変わる
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──ラミレス監督はチームスタッフ、選手とコミュニケーションを図る際、言葉づかいにも気を配っている、と本に書かれていました。なぜ、「私」ではなく「私たち」という言葉を使うのでしょうか?

正しい言葉を使う。これはリーダーとして非常に重要なことです。「私」という言葉を使うと、チームは自分の意見に従うべきである。そう命令しているように聞こえてしまいます。

ただし、「私たち」という言葉を使うと、自分の言葉をチームスタッフ、選手が自分ごととして捉えてくれる。その結果、チーム全体が同じ方向へ向かうことができます。ですから、「私たち」という言葉はチームづくりにおいて、とても意味のある言葉だと思っています。
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例えば、「私がこの選手を起用したから、今日はいい試合ができた」と言ってしまったら、監督の判断だけが試合の結果につながったように聞こえます。それはチームにとって良くありません。もしかしたら、チームスタッフの誰かが、「その起用は自分が意見したんだけどな」と思ってしまうかもしれません。

一方で「私たちは今日いい試合ができた」と言えば、チーム全体の意見となり、チームスタッフと選手、みんながハッピーになります。私は常にチームが一丸となることを大事にしているので、「私たち」という言葉を使うようにしています。



──先ほど、一貫した考えのもと行動していると仰っていました。昨年のラミレス監督は我慢しながら選手を使い続けるという印象がありましたが、今年は選手の起用方法を積極的に変えている印象がありますが、何か考えの変化があったのでしょうか?

新人選手やFA移籍で加入した選手などによってDeNAベイスターズの戦力は毎年変わります。つまり、それは他のチームの戦力も変わっているということ。ですから、常に使える戦力を持っていることは勝つためにとても重要なことです。

正直に言うと、昨年までDeNAベイスターズの選手層は厚くなくレギュラー選手と競争できる選手があまりいませんでした。そのため我慢して起用し続ける、という選択をしました。

しかし、今年は常に選手たちがレギュラーポジションを目指して競い合っています。チーム内で切磋琢磨している状態ですので、良いコンディションの選手がいれば、どんどん起用するつもりです。

私はそのとき調子が悪かったとしても、選手が諦めずに努力をしているのであれば我慢して見守ります。ただし、努力もせず、下を向いて「まぁいいや」と思う選手については我慢しない。そういった存在はチームにもプラスの影響を与えないので起用しないことが多いです。

チームが2年連続Aクラスでシーズンを終えたことで、監督の考えは変わった。そう思われるかもしれませんが、変わっているのは私ではなく選手たちです。彼らは本当によくやってくれていると思います。

──選手たちの些細な変化にもすぐに気付くのでしょうか?

私は選手全員の長所、短所を熟知しています。もしかすると、選手たちよりも知っているかもしれません。

選手が最近、どういったことにトライしているのか、調子が悪いのかどうかはすぐに気付きます。それを把握した上で、私は彼ら一人ひとりが持っている持ち味に気付き、それを活かして勝利につなげたいと考えています。絶対に選手の批判はしません。批判するのではなく、どうやったら選手は持ち味をより発揮できるか。それを常に考えています。

 

──最後の質問ですが、現在のチーム状態はラミレス監督が掲げている理想のチームと比べて、どれくらい差があるのでしょうか?

私たちはすでに理想のチームとして戦っています。この先、長いシーズンの中も負けることもあるでしょうが、 私たちが必要なものはいま全て揃っている。

勝つことを信じ、最後まで全力で戦い抜けば、間違いなくこのチームで優勝できると信じています。ファンのみなさん、これからもご声援よろしくお願いします。

写真=小田駿一

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