マイクロソフトが買収した「強化学習AI」企業の破壊的パワー

(Photo by Christophe Morin/IP3/Getty Images)

マイクロソフトはAI関連のスタートアップ企業「Bonsai」を買収すると発表した。BonsaiはAI領域で “強化学習(reinforcement learning)”に強みを持つ企業として知られ、買収によりマイクロソフトは自律システムや産業用制御システム分野を強化することが可能になる。

カリフォルニア州バークレーに本拠を置くBonsaiは「AIの民主化」をスローガンに掲げ、企業らの強化学習を推進し、経営判断にAIを活用する試みを続けている。

Bonsaiの共同創業者兼CEOのMark Hammondは2014年に同社を設立した。BonsaiのAIプラットフォームでは、「BRAIN(Basic Recurrent Artificial Intelligence Network)」と呼ばれるAIエージェントに加え、「architect」や「Instructor」「learner」「predictor」というコンポーネントを用いAIモデルを構築している。

Architectはシステムのハイレベルなメンタルモデルを定義して最適なアルゴリズムを選択する。Instructorは既存データやシミュレーションデータを用いたトレーニングプランを設計する。learnerが十分なトレーニングを実行するとpredictorモードがデプロイされ、ライブデータに対する予測を行うことができるようになる。

Bonsaiは2017年9月に産業用制御システム向けの新たな強化学習ベンチマークを導入した。同社は、ロボットアームにブロックを積み重ねさせる上で、タスクを細分化してトレーニングさせたことでグーグルの「ディープマインド(DeepMind)」よりも45倍も速くタスクを完了することに成功した。

この成果は、Bonsaiのプラットフォームがロボティクスや製造、HVAC(空調)といった分野で有効利用できることを証明した。

マイクロソフトは、傘下のベンチャーキャピタル「M12(旧Microsoft Ventures)」を通じてBonsaiに出資をしていた。Bonsaiに在籍する42名のチームは今後、AIの研究組織である 「Microsoft AI and Research Group」に所属することになる。
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編集=上田裕資

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