マイクロソフトが買収した「強化学習AI」企業の破壊的パワー

(Photo by Christophe Morin/IP3/Getty Images)


Bonsaiの買収はマイクロソフトにとって以下のメリットをもたらすと考えられる。

・マイクロソフトは長期的なポテンシャルを持つスタートアップに投資し、育成を図る目的でM12を設立した。Bonsaiの買収はM12にとって成功事例となり、スタートアップエコシステムにおける同社の信頼性を高めることになる。

・マイクロソフトは、AIをクラウドプラットフォーム「Azure」の差別化要因にしたいと考えている。同社は、デベロッパーや顧客企業にとって機械学習やAIを利用しやすくするために多額の投資をしてきた。Bonsaiを傘下に収めたことで、従来のポートフォリオに欠けていた強化学習を加えることができる。

・「Azure IoT」とBonsaiを組み合わせることで、製造やヘルスケア、自動車などの産業向けに優れた自律型産業システムを提供することが可能になる。

・Bonsaiは、マイクロソフトが「インテリジェントクラウド」や「インテリジェントエッジ」で掲げるビジョンと親和性が高い。強化学習に基づくモデルはエッジ側で処理ができ、端末をインテリジェンス化することが可能だ。

・自律システムに特化したBonsaiが加わることで、マイクロソフトは初歩的な機械学習プラットフォームから産業システム向けの高度なAIプラットフォームまで、最も総合的なAIポートフォリオを提供することが可能になる。

今回のディールは、マイクロソフトがAI分野で実施した買収の中で最も戦略的な案件だと言える。買収後の統合が計画通り進めば、AzureはAIにおける一大勢力となるだろう。

編集=上田裕資

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