2017年には中国AIスタートアップに500億元(約860億円)以上が投資されたが、100大企業の累積売上高は100億元を下回った。業界内部では、中国AI産業は「音だけ騒がしい」という指摘が出始めていると、一部、中国メディアが伝えている。
中国を代表するITメディア企業・億欧網の共同設立者でアナリストでもある黄淵普氏は、行き過ぎた期待感はいずれバブル崩壊へ繋がり、中国AI企業のドミノ倒産を招く可能性があると指摘している。
中国では空前のAIブームが起きており、バイドゥやテンセントなどをはじめとする企業が開発や投資に注力する傍ら、iFlytek、megviiなど関連企業も着実な成長を遂げているとされている。ITおよび家電大手各社が相次いでAIスピーカーを販売開始するなど、市場争奪戦も熾烈だ。政府としてはゆくゆく、米国を抜いてAI大国になるという戦略も大々的に掲げている。
しかしながら、統計を見る限り、各企業の収益は期待に及んでいない。AI技術は確実に発展しているだろうが、商業化はまだまだ難しいという現実があるようだ。
黄淵普氏は、中国AIサービスおよび製品の「価格」が高い反面、消費者が享受する価値がまだ期待を下回っている状況だと現実を批判した。一方、創新工場の李開復CEOは、昨年の段階で国内AI産業への過度な期待感に警告をならしている。AIは多くの投資が必要な分野であるためバブルがありうる、また2018年末に多くの中国AI企業が倒産する可能性があるといのが李氏の予想だ。
なお前瞻産業研究院が発表したところによると、2015年の中国AI市場は前年比40%増の69億元、2016年は96億元、2017年は136億6000万元と高速成長を見せている。来たる2023年には、市場規模が1000億元を上回る見通しだ。
中国で起きているAI産業への熱狂的投資は、バブル崩壊というバッドエンドを迎えてしまうのか。はたまた、中国AI企業の健全なイノベーションを生み出す原資となるのか。最終的にどのような結末を迎えるか、いましばらく見守る必要がありそうだ。