世界中から優れた広告・コミュニケーション事例が集結する同イベント。海外のクリティブな企業が数多く登壇する中、登壇者の欄に目を引くものがあった。EXILEを筆頭に、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEなどEXILE TRIBEが所属するLDH JAPAN(以下、LDH)がカンヌライオンズに登壇するという。
それに加え、これまでオリバー・ストーンやファレル・ウィリアムスなどが登壇してきたシアター・リュミエールでのセッションにLDHが日本人アーティストとして初めて抜擢。
6月21日、2000人規模のステージで“The Japanese Model Changing Global Brands”をテーマに、LDH WORLD チーフクリエイティブオフィサー EXILE HIROを始め、 VERBAL、Afrojack、そしてBeats Electronics President Luke Woodが登壇し、LDHの独自モデルの秘密について明かす。
LDHについて、日本ではまだ「芸能事務所」だと思っている人が多い。そうした中、なぜ今回カンヌライオンズはLDHのエンターテイメントに注目したのか。セッションのモデレーターを務めるブルーカレント・ジャパンの代表取締役社長 本田哲也にその理由を聞いた。
ブルーカレント・ジャパン 本田哲也
世界から見た、LDHのクリエイティビティの面白さ。そして、日本全体のクリエイティビティの希望とは──。
LDH JAPANは一体なにがスゴいのか?
年間のライブ動員数は国内だけで280万人と、世界でもトップクラスの規模を誇るLDH。カンヌライオンズは、そんな彼らのどこをクリエイティブだと評価したのか。本田は、LDHの突出したクリエイティビティについて、こう語った。
「大きくわけて3点でしょうか。まずは、短い期間内で完成度が高く大規模なライブパフォーマンスを実現しているという、クラフト的なクリエイティビティ。次に、HIROさんがプロデュースされているダンスなども含めて、海外の人たちはちょっとやらなそうな“奇抜”な演出。そして、3つ目が特にユニークなのですが、LDHがもつ組織の仕組みですね」
本田は、LDHがハイスピードでハイクオリティのものを生み出せる秘密が、その「仕組み」に隠されているという。
「私は彼らの組織がもつ仕組みを、ソフトウェアの開発になぞらえて“スパイラルモデル”と命名しています」
「スパイラルモデル」とは、従来のしっかりとしたストラクチャーと納期を守って作られるトップダウン式の「ウォーターフォールモデル」と違い、使用設計とプロトタイピングを繰り返して開発を進め、トップダウンとボトムアップを同時に起こしていく手法。LDHにはこのモデルがさまざまなところで機能しているという。